平成30年度市政執行方針

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市政執行方針(平成30年第1回紋別市議会定例会)

平成30年第1回紋別市議会定例会の開会に当たり、私の市政に対する執行方針を申し上げ、議員の皆様並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 今、私たちが暮らす地域社会は、これまでに類を見ないほどの規模で進展する国際情勢の変化や急速に進行する少子高齢化などの難題に直面しており、まさに、先を見通すことが極めて困難な激変の渦の中にあります。

 少子化や若年層の流出などに伴い、予想を上回るスピードで進行する人口減少は、市内の経済活動や安全・安心な暮らしを脅かし、都市機能や社会基盤の縮小を招きかねない重大な要因となっており、その流れに歯止めをかける対策は、もはや待ったなしの状況であります。

 私たちは、自然環境の厳しいこの地において、「地域医療崩壊の危機」や「東京直行便存続の危機」など、幾度となく市民生活を窮地に陥れかねない重大な事案に直面しており、これらの危機を乗り越えるため、市民の皆様と共に知恵を出し合い、汗を流し、力を合わせてまいりました。

 この先も、私は、勇気を持って市民の先頭に立ち、皆様と共に、人口減少対策などをはじめとする地域の諸課題に真正面から立ち向かい、希望に溢れ、輝き続ける「ふるさと紋別」を創造するため、未来へ向かって挑戦を続けてまいります。

 同時に、時代の潮流が、世界的規模で刻々と変貌する中、確かな将来展望を見定めるには、世界を見据えた幅広い視野と来たるべき新たな時代を読み解く先見性や柔軟な発想力が求められ、更には、将来のあるべき姿を実現していくための強靭な精神力と力強い行動力が必要であります。

 どのような将来展望を描き、そして、どのようにまちづくりを進めていくべきか、本市の未来を創造していく上で、今まさに、次代を担う若い世代の市政への積極的な参画が求められております。

 諸先輩の豊富な知識や経験と冷静な判断力、若い世代の斬新な発想力と大胆な行動力、これらの融合が、これからの時代に相応しい、希望と活力に溢れた新たなまちづくりの原動力となり、「ふるさと紋別」への愛着心を更に育むことにつながるものと考えております。

 また、先の所信表明でも申し上げたとおり、このまちに暮らす誰もが活躍し、輝き、そして心豊かに幸せを実感できる「共生社会」を実現することは、市長としての私の信念であります。

 我が国では、様々な産業分野において後継者の不在や担い手不足の問題に直面しており、地方都市であるほど、その深刻度合いは高く、地域社会を維持、存続していくためには、多様な方々が地域を支える担い手となることが必要であります。

 このことは、市民の社会参加意識を促すとともに、お互いを認め合い支え合う社会の創出と地域経済の活性化に、好循環をもたらすものと考えております。

 人・モノ・カネ・情報が国境を越え、世界的規模で行き交う時代を迎え、本市におきましても、技能実習生や訪日観光客など、多くの外国人が市内経済の一翼を担う存在となっております。

 また、国が提唱する「一億総活躍社会の実現」にかかわらず、本市では、昨年、障害者就労支援事業所「紋別ベジタブルファクトリー」を開設し、障害者の社会参加を推進してまいりました。

 共生社会の実現は、本市の持続的な発展を成し遂げる上で、極めて重要であると考えており、今後とも、年齢や性別、障害の有無や国籍などにかかわらず、多様な方々が、このまちに定着し、活躍することのできる地域づくりを目指し、進展する高齢化をはじめ、国際化・情報化社会にも対応し得る良質な生活環境の確保や社会基盤整備などに努めるとともに、農林水産業や観光産業においては、海外も視野に入れた新たなビジネスチャンスの発掘や経済交流の拡大に向けて、更に取組を進めてまいります。

 本年度の予算・施策執行に当たりましては、「力強い産業活動がまちに潤いをもたらし、良質な社会保障サービスと生活環境が市民の安心な暮らしを支える、そして、教育の推進が子どもたちの成長と未来の紋別を創造する人材を育み、交流人口拡大への取組が地域の魅力と付加価値を高める」、これらのことを基本的視点に位置づけてまいります。

 また、各種施策の展開におきましては、市役所組織の縦割りを廃し、横断的な連携体制のもと、全職員が責任を共有し、スピード感をもって諸課題に対応することはもとより、民間企業が有する知恵や機動力、社会経済情勢への即応力などを最大限に活かし、より一層の施策効果を生み出す官民連携体制の強化を図るほか、市民の皆様との連携・協力を賜りながら、市民本位の市政運営に誠実に取り組み、更なる市政進展を目指してまいります。

 引き続き、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 以下、本年度の主要な施策の概要について申し上げます。

第一に、「力強い産業活動が市民の暮らしを支え、まちに潤いをもたらす」という視点であります。

力強い産業活動なくして、市民の安心な暮らしとまちの持続的な発展は望めません。

 市内経済を力強く牽引する活発な産業活動の展開こそが、安定的な雇用の創出による若年層などの市内定着を促すとともに、市民の安心な暮らしを支え、まちに活力と潤いをもたらし、更には、未来を創造する新たなまちづくりの原動力となるものであります。

 今後とも、本市経済を支えるトップリーダーである農林水産業の生産基盤の整備や収益力の強化などに計画的に取り組むことはもとより、観光においては、官民一体となって「観光の産業化」の実現に向けた取組を積極的に展開するなど、第一次産業から第三次産業まで幅広く、足腰の強い産業の育成、振興に努めてまいります。

 農業につきましては、高い生産性や収益力を確保し、TPP11や日欧EPAなどの更なる国際化の進展に負けない競争力と持続可能な農業経営の確立に資するため、引き続き、労働力を補完する高度省力化新技術の導入や家畜施設の機能拡充に意欲的に取り組む酪農家などに対して支援するとともに、良質な飼料生産基盤の計画的な整備を推進し、地域全体の酪農生産基盤の底上げを図ってまいります。

 また、小向地区営農用水施設の機能性や規模を拡充するほか、新たに上渚滑地区、大山地区の各営農用水施設の電気設備等を更新するなど、安全・安心な農業用水の安定的な供給に努めてまいります。

 このほか、多くの酪農家が高齢化や労働力不足に直面している現状を踏まえ、JAや関係機関などとの連携を深めながら、その課題解決に向けた効果的な手法の検討に一層努めてまいります。

 林業につきましては、昨年4月、本市を中心とする網走西部流域が、道内唯一の「林業成長産業化モデル地域」として林野庁から選定され、今後、日本一の認証材供給基地であることの優位性を活かしたブランドイメージの定着化や林業の新たな価値創造を担う人材の育成、中間土場を活用した素材生産・流通システムの構築など、当地域の林業・林産業の成長産業化に向けた取組を、関係団体と共に加速させてまいります。

 また、北海道が設立を検討している「北海道立林業大学校」につきましては、常に先を見据えた取組を進めてきた当地域が、時代に即した人材育成を目指す林業大学校の設立に、最も相応しい地域であると認識しておりますことから、引き続き、網走西部流域をはじめオホーツク管内の関係団体が一丸となって、北海道に対し、当地域への設立を強く要望してまいります。

 漁業につきましては、主力であるホタテ漁における生産性の向上と低コスト化による経営体質の強化を図るため、魚倉容量の拡大や省エネ化に対応したホタテ協業船の更新に支援してまいります。

 また、昨年に引き続き、ホタテを補完する新たな漁業資源として、漁業協同組合と連携し、ナマコの増養殖試験に取り組むとともに、コムケ湖導流堤の改修工事を推進するなど、北海道や関係機関と共に、コムケ湖内の漁場環境の保全に努めてまいります。

 水産加工業につきましては、漁獲量の減少に伴う慢性的な加工原料不足に直面する水産加工業界の現状を踏まえ、不足する加工原料の一部を補うことを目的に、水産加工業協同組合が中心となって取り組まれる海外からの新たな原料輸入ルートの確立に向けた調査事業に支援してまいります。

 港湾施設につきましては、世界的な食市場の拡大等に対応するため、昨年、紋別港が、農水産物の輸出力強化に資する道内6港湾の一つとして国の認定を受け、今後の港湾施設整備の加速化に期待感が高まっております。引き続き、漁獲物の衛生管理体制の向上や高品質・高付加価値化に向けて、国と一体となり、第二船溜西岸壁における屋根付き岸壁の整備を推進し、早期の完成を目指してまいります。

 また、第一埠頭、中央船溜、第二埠頭などにおける岸壁改良やエプロン改修等に計画的に取り組むとともに、市営第1号上屋につきましても、今後2か年をかけて改修を進めてまいります。

 中心市街地・商業等につきましては、「まちなか市営住宅」の1棟目が完成し、昨年末に入居開始となりました。引き続き、まちなか居住人口の拡大による中心市街地の賑わい創出に向けて2棟目の建設に着手し、平成31年度中の完成・入居開始を目指してまいります。

 また、中小企業チャレンジ支援事業による創業支援や空き店舗活用支援事業などにより、意欲のある商業者の経営支援に引き続き取り組むほか、商工会議所が中核的な役割を担い、商業者等に対する相談窓口をワンストップ化するなど、市と商工会議所の連携を強化し、地元企業に対する支援体制の充実や利便性の向上に努めてまいります。

 観光につきましては、本市を支える重要な産業として確立することを目指し、新たな観光推進組織として生まれ変わった紋別観光振興公社の組織体制の更なる充実・強化に向けて、市としても全面的にバックアップし、民間企業や関連団体などからの多種多様な支援も頂きながら、官民一体となって諸施策を展開してまいります。

 観光客の誘致につきましては、経済成長の著しい東南アジア諸国をターゲットに、各国の嗜好に応じた戦略的な誘客活動を推進してまいります。

 また、観光客のニーズに応えうる施設の整備・拡充やサービス提供体制の充実に向けて、行政が担うべき役割と民間に牽引していただくべきことを明確にし、観光関連企業や団体と連携して取り組むなど、ハード・ソフト両面にわたり、将来を見据えた魅力ある観光地域づくりを進めてまいります。

 更に、西紋5市町村と連携し、当エリアの観光資源の発掘・磨き上げやPR動画の作成、国内外でのプロモーション活動やモニターツアーの実施など、広域観光の充実に努めてまいります。

 雇用につきましては、農林水産業をはじめ、医療、福祉、建設など、様々な産業分野において深刻な人手不足の状況が常態化しております。このことは、安定的な企業経営を阻害し、市内経済を停滞させるのみならず、市民サービスの低下を招きかねない重大な要因となっており、地域における喫緊の課題として、官民が一体となって、労働力確保や人材育成の取組を推進することが必要であります。

 引き続き、雇用開発推進員による求人情報の収集や個別相談会の開催、Uターン促進や資格取得に向けた各種助成制度を継続するほか、Uターン情報の発信力強化に向けて、首都圏の若年層を対象に、SNSを活用した新たな広告宣伝を展開するなど、多様な手法を取り入れながら、移住促進や人材確保の取組を推進してまいります。

 更に、労働力不足の解消と国際化の進展の両面に対応するため、外国人の採用を希望する企業が増えつつありますことから、本年度、タイから専門職員を採用し、本市での就労を希望する外国人と市内企業とのマッチングなどに取り組んでまいります。

第二に、「市民の安全・安心な暮らしを支える」という視点であります。

市民の誰もが、安全・安心に暮らせる環境、いつまでも健康で明るく生きがいを持って人生を送ることのできる地域社会を望んでおり、少子高齢化が進展する中、医療、保健、介護、福祉の密接な連携体制や、市民一人ひとりが共に支え合う共生社会の実現が重要となっております。

 子育て世代やお年寄り、障害のある方々など、誰もが、このまちで、明るい希望を描き、安心して暮らし続けられるよう、医療体制はもとより、子育て環境の充実や育児負担の軽減、多様な生活様式や家族構成等に応じたきめ細かな介護・福祉サービスの提供、良質で安全な生活環境の確保など、安全・安心な暮らしの環境づくりに向けた諸施策を一層推進してまいります。

 地域医療につきましては、先の所信表明で申し上げたとおり、西紋地域の医療再生には、広域紋別病院の医師や看護師など、医療従事者を確実に確保することが絶対条件であり、これまで同様、決して気を緩めることなく、広域紋別病院と連携し、道内医育大学や北海道に対する医師派遣要請に取り組むことはもとより、全国を視野に、強い決意をもって医師の確保に臨んでまいります。

 また、医師や患者を支える看護師や助産師などが恒常的に不足しており、安定した診療体制を支える上で、遠紋地域唯一の看護師養成機関である道立紋別高等看護学院の果たすべき役割は極めて重大であります。この地域に暮らす住民が安心して良質な医療を受けられ、地域の命を地域で守ることができるよう、地元選出道議と共に、北海道に対して、早期の移転建替を強く要請してまいります。

 このほか、広域紋別病院の看護師の働きやすい環境づくりに資するため、看護師公宅の建設や夜勤看護師の育児支援に取り組むとともに、病院改革プランに基づき、広域紋別病院が推進する経営健全化に向けた取組に対し、支援を強化してまいります。

 地域福祉につきましては、高齢社会の進展に伴い、認知症高齢者や脳疾患患者が急速に増加し、知的障害や精神障害のある方を含め、判断能力が十分でない方の権利擁護の取組が一層重要性を増しており、弁護士などの専門家をはじめ、地域包括支援センターや社会福祉協議会、障害者相談支援事業所などと連携し、引き続き、きめ細かな相談体制の確保に努めることはもとより、成年後見センターの設置に向けて設立準備委員会を立ち上げるなど、関係機関との協議や体制整備を加速してまいります。

 子育て支援につきましては、子育て環境の充実や利便性の向上を図るため、民間の認定こども園による新園舎の建設や病児保育事業などに支援するとともに、子育て世帯の育児と仕事の両立に資するため、夜間保育の実施に向けて準備を進めるほか、老朽化が進む大山児童センターにつきましては、旧広域紋別病院跡地への移転建替に着手してまいります。

 障害者福祉につきましては、紋別高等養護学校や紋別養護学校などの卒業生をはじめ、障害のある方々の市内定着を促すためには、居住と就労の両面における支援が必要であります。

 経済的理由によりグループホームへの入居を諦めるケースを減らし、入居需要を高めることで、今後のグループホームの整備が促進され、希望者が安定的に入居できるよう、障害年金の受給資格のない20歳未満の障害者に対し、新たに入居費用の一部を助成する制度を創設してまいります。

 また、就労継続支援事業所B型への通所や一般就労への移行を円滑に行う環境を確保するため、引き続き、遠紋地域唯一の就労移行支援事業所の運営を支援するほか、基幹相談支援センター職員の支援能力の向上に向けて、研修機会の充実に努めてまいります。

 高齢者福祉につきましては、安養園に入所される方々の安全・安心な介護支援体制を確保するため、ナースコール設備の更新に支援してまいります。

 また、認知症に伴う徘徊対策として、緊急通報システム事業において、GPS機能を搭載した携帯端末機を導入するなど、ひとり暮らしの高齢者や認知症高齢者へのサポート体制を強化してまいります。

 保健・健康づくりにつきましては、広域紋別病院の助産師などと連携し、出産後の心身の不調や育児の悩みを抱える母親に対するケアや育児支援を行う「産後ケア事業」に新たに取り組むなど、今後とも、市民の健康の保持・増進に努めてまいります。

 国民健康保険事業につきましては、財政の安定化や税の平準化など、国保事業が抱える様々な課題に対処するため、本年4月から、都道府県単位化による運営に変更されます。

 このことに伴い、新たに生じる納付金を北海道に支払う必要があるため、国保税の見直しを行わざるを得ない状況となっており、税の軽減制度の拡充や葬祭費の引上げのほか、賦課限度額の引上げ等により、中低所得者への負担の軽減に十分配慮しながら、北海道と連携し、事業運営の安定化に努めてまいります。

 介護保険事業につきましては、平成30年度から32年度までを計画期間とする「第7期紋別市介護保険事業計画」に基づき、医療や介護などの関係機関をはじめ、住民組織との連携・協力のもと、地域包括ケアシステムの更なる深化に向けて取組を推進してまいります。

 特に、認知症高齢者対策として、認知症サポート医を中心に、保健師、作業療法士、社会福祉士などの専門職により構成する認知症初期集中支援チームを立ち上げ、早期診断、早期対応につなげる体制を整備するとともに、初期症状や対応方法、相談機関や介護サービス事業所などを網羅した市民向けガイドブック「認知症ケアパス」を新たに作成するなど、認知症に対する理解の促進に努めてまいります。

 また、NPO法人や町内会などによる住民主体型の介護予防事業や生活支援体制の構築に向けて、生活支援コーディネーターを中心とした協議の場を設置してまいります。

 住環境につきましては、まちなか市営住宅の建設に併せ、老朽化の著しい旭丘団地は、順次、解体する方針でありますが、そのうち10棟40戸については、入居者の意向に応じて、引き続き維持することとし、今後、屋根や外壁、内装設備などの改修に計画的に取り組み、良質な住環境の保全に努めてまいります。

 また、管理不全の空き家・廃屋が増加し、生活環境や防犯上における悪影響が社会問題化していることを踏まえ、国や専門家の意見を伺いながら、空き家等の適正管理や除却方法、有効活用策について協議を進めるなど、総合的な空き家対策に取り組んでまいります。

 更に、昨年3月に策定いたしました「旧広域紋別病院跡地利用構想」に基づき、病院跡地の造成工事や公共施設の移転建替に着手するなど、周辺地域の生活環境や利便性の向上を図るための取組を進めてまいります。

 市道につきましては、市道改修事業により、機能の低下した路線の改修に引き続き取り組むほか、道路ストック再整備事業では、幹線道路を中心に、走行性の向上と安全性を確保するため、補修工事や道路照明のLED化を進めるなど、道路施設の計画的な整備に努めてまいります。

 上下水道につきましては、引き続き、渚滑川取水口から花園浄水場までを結ぶ導水管をはじめとする老朽管路の計画的な布設替などを進めてまいります。

 また、花園配水池等の耐震診断、アクアセンターにおける管理棟の耐震工事を実施するほか、老朽設備の更新を行うなど、安全かつ安定的な給水と環境に配慮した適切な排水処理に努めてまいります。

 防災につきましては、「紋別市備蓄計画」に基づき、災害発生時における避難生活に対応するため、食料や飲料水など、生活必需品の確保に計画的に取り組むとともに、郵便局や民間企業などとの連携・協力関係を一層密にし、災害時における避難所への郵便物の配達や応急物資の供給体制の充実に努めるなど、万が一の避難生活に備えてまいります。

 このほか、町内会や事業所など、市民との協働による住民を守る体制づくりを促進するため、「自主防災組織」の組織率の向上に向けて、住民説明会や出前講座の開催などに努めてまいります。

 環境保全につきましては、市職員による環境負荷の低減に向けた取組を一層推進するため、「紋別市役所環境保全行動計画」を改訂し、公共施設や設備の改修、運用方法の見直しなど、温室効果ガスの更なる削減に努めてまいります。

 併せて、省エネ化に向けた施設等改修計画を新たに策定し、より高い実効性を確保するとともに、将来的な施設等の維持管理コストの削減と市民負担の軽減につなげてまいります。

 公園・緑地につきましては、昨年12月に策定いたしました「公園施設長寿命化計画」に基づき、今後、せせらぎ公園や紋別公園など、各公園施設の長寿命化対策に、順次、取り組む方針であり、本年度におきましては、幼児からお年寄りまで、幅広い年齢層に利用されているせせらぎ公園の大型遊具を更新するなど、多くの方々に親しまれる良質な憩いの場として、整備を進めてまいります。

 交通対策につきましては、身近で便利な市民の足として、通院・通学、買物など日常生活を送る上で不可欠な地域バス路線を安定的に確保するため、早急に「紋別市地域公共交通網形成計画」を策定し、地域の実情にあった路線の見直しを図るなど、バス利用者の利便性向上と利用拡大に取り組んでまいります。

第三に、「子どもたちの成長を支え、未来を創造する人材を育む」という視点であります。

成長過程にある子どもたちは、無限の可能性を秘めており、その個性や能力を育み、成長を支えるのは、私たち大人の大切な役割であります。

 子どもたちが、目標に向かって自ら意欲的に学び、スポーツ活動や文化・芸術活動に懸命に取り組む中で、夢をもっていきいきと輝き、確かな学力や豊かな心、健やかな体を育み、やがて、未来を担う原動力として大きく翔くことができるよう、今後とも、学校、家庭、地域社会が一体となって子どもたちを育んでいくという視点に立ち、新たな発想や多様な手法を取り入れながら、良質な教育環境づくりや地域に開かれた特色ある学校づくり、更には子どもたちが社会の一員として参画できる地域づくりに向けて、積極的に取り組んでまいります。

 義務教育につきましては、学習サポーターによる通常授業における学習支援や放課後・長期休業期間における補充学習など、児童・生徒の基礎学力の着実な定着に取り組むとともに、留守家庭児童園における学習支援体制の強化や中学生を対象とした「家庭学習支援塾」を新たに開設するなど、子どもたちが家庭学習の習慣を身につけ、自ら学び考える力を育めるよう、多種多様な取組を推進してまいります。

 また、児童・生徒や教員が利用しやすい学校図書館の環境を確保し、子どもたちの読解力の向上を図るため、図書の入替や補充を集中的に行うとともに、学校図書館蔵書管理システムを新たに導入するなど、子どもたちが図書に親しめる環境づくりを進めてまいります。

 更に、4月から特認校となる渚滑小・中学校において、タブレット学習環境を試験的に導入するなど、今後のICT教育環境の整備に向けて、その有効性や効率性を検証してまいります。

 このほか、部活動指導体制の充実や、教職員が質の高い授業研究や教材準備に取り組めるよう、新たに部活動指導員やスクールサポートスタッフを配置するなど、教員の負担軽減と教育環境の充実に努めてまいります。

 特別支援教育につきましては、西紋地域の療育拠点である幼児療育センターの施設機能の向上を図るため、平成31年度の開設を目指し、旧広域紋別病院隣接地への移転建替を行うとともに、支援体制の強化に向けては、専門資格を有する職員の増員配置や、大学・療育病院などとの連携を強化し、療育アドバイザーの派遣を充実させるなど、子どもたちの心身の状況に配慮し、適切かつ効果的な療育指導を行うことのできる施設環境の確保と支援体制の質的向上に取り組んでまいります。

 また、療育アドバイザーや紋別養護学校などとの連携により、市内小中学校に配置している支援員に対し、効果的な支援方法を習得させるための研修機会を拡充するなど、児童・生徒へのきめ細かな支援に努めてまいります。

 高等学校支援につきましては、少子化による高校入学者数の減少に伴い、管内の高校における学級数の見直しが関係機関において行われている中、紋別高校への入学者の確保は喫緊の課題であります。

 昨年の紋別高校は、部活動における地区大会や全道大会で活躍し、市民に大きな感動と元気をもたらし、今後一層の躍進に期待が膨らんでおります。

 地域を支える人材育成の場であり、本市にとってなくてはならない紋別高校の特性を将来にわたり確保するため、引き続き、学力向上、部活動強化、通学・生活支援など、紋別高校へ通学する生徒に対する多様な支援策に取り組み、地域の拠点校として、保護者や生徒に選ばれる魅力的な地元高校づくりを推進してまいります。

 生涯学習につきましては、本年5月、「青年の家」の後継施設である「紋別生涯学習センター」が運用開始となります。

 新たな施設は、これまでの青年の家にはなかった音楽練習室や調理実習室、工作室、星空観測スペース、ボルダリング施設などが新設されるほか、100名規模の大規模研修にも対応できる研修室や食堂、宿泊棟、入浴施設、体育館など、様々な研修ニーズに対応可能な施設機能を有しており、本施設が、子どもたちの育成や各種団体のサークル活動、高齢者の生きがい活動など、多くの市民や団体の学習や研修の場として親しまれ、有効に活用されることを強く期待しております。

 芸術・文化につきましては、国内最高峰の東京藝術大学をはじめとする著名な教授陣など、一流の音楽家による「オホーツク音楽セミナー」は、市民が優れた芸術・文化に触れる機会として、更には、芸術・文化の香り漂う魅力あるまちづくりを目指す本市にとって、この上ない最高の舞台であります。

 この貴重な音楽セミナーを、更に盛大なものに育てていくため、報道機関などとの連携によるPR活動を一層強化するなど、全国的な認知度の向上や受講生の拡大に向けた取組を推進してまいります。

 スポーツの推進につきましては、陸上競技場が第4種競技場としての公認期限を迎えることから、施設環境の現状や利用状況を検証するとともに、市内外の関係団体のご意見を取り入れながら、今後の施設のあり方や整備手法などについて検討してまいります。

 更に、北海道日本ハムファイターズや北海道コンサドーレ札幌との連携による一流のスポーツ指導を通じて、技術の向上を図ることはもとより、全国大会を目指すことをはじめ、より高い目標に向かって日々努力する精神力を育むなど、子どもたちの成長を支えてまいります。

第四に、「交流人口の拡大により、地域の活性化を促進する」という視点であります。

定住人口の減少による域内消費活動の縮小が懸念される中、交流人口の拡大を図ることは、地域に潤いと輝きをもたらし、市内経済を活性化させる極めて重要な取組であり、地方創生の切り札となるものであります。

 本市では、これまでも、この地域が有する多様な観光資源や地域特性、空港や港湾などの社会基盤を最大限に活用し、交流人口の拡大に向けて、様々な施策を展開してまいりました。そして、その成果は、東京直行便の搭乗者数をはじめ、本市を訪れる滞在型観光客や外国人観光客の増加など、目に見える形で確実に表れており、次に目指すところは、その経済波及効果を市内に広く行き渡らせることであります。

 大都市や海外から本市への人の流れを加速させるための取組を一層推進し、交流人口が生み出す経済の好循環の拡大を目指してまいります。

 避暑地化の推進につきましては、爽やかな気候や恵まれた自然環境の中での生活体験を通じて、紋別で暮らすことの豊かさと魅力を実感し、この地域に対する興味や関心を一層高めていただくため、全国の方々から好評を頂いております「おためし暮らし」の住宅を拡充し、長期滞在者の更なる拡大に取り組んでまいります。

 また、民間投資を活用した別荘地の整備に向けて、適地選定や現地視察による顧客ニーズの把握など、関係機関との具体的な協議を加速するとともに、二地域居住希望者に対する市内の空き家物件の情報提供を強化するなど、「避暑地紋別」の確立を目指し、取組を展開してまいります。

 更に、国の「地域おこし協力隊制度」を活用し、地域の活性化に意欲のある人材を都市部から呼び寄せ、市内で活躍していただくとともに、将来の移住・定住につなげてまいります。

 このほか、合宿誘致につきましては、平成17年度から積極的に誘致活動を展開し、現在では、首都圏の大学を中心に、多くの団体にお越しいただけるようになり、東京直行便の利用拡大や市内経済への波及効果も大きなものとなっております。今後とも、本市はもとより、遠紋圏域全体が合宿適地として定着するよう、近隣町村との連携も図りながら、受入体制の充実に努めてまいります。

 国際交流につきましては、本市には、中国や東南アジア諸国からの300人を超える技能実習生をはじめ、多くの外国人が居住しており、市内経済を支える大切な市民の一員として活躍していただいております。

 今後、更なる国際化の進展が見込まれる中、これらの方々を国籍にかかわらず温かく迎え入れ、親しみを持って接し、相互理解や信頼関係を深めていくことは、将来を見据えた上でも、極めて重要であると強く感じております。

 日本人と外国人との生活習慣や文化、考え方の違いを知り、話し合い、理解を深め合うことを通じて、双方の間にある距離感を取り払い、同じ市民として助け合い、支え合うことのできる信頼関係を築いていくため、昨年に引き続き、外国人技能実習生と市民との交流の機会を設けるとともに、共に集い、学び、触れ合うことのできる交流拠点を整備し専任職員を配置するなど、関係団体との連携を図りながら、外国人との共生社会の実現を目指してまいります。

 また、市内小中学校との連携はもとより、紋別高校や文化・スポーツ団体などの協力も頂きながら、本年度におきましても「ベトナム青少年短期留学受入事業」を継続するなど、東南アジア諸国との交流拡大や相互理解を深める取組を展開してまいります。

 オホーツク紋別空港の利用促進につきましては、東京直行便は、交流人口の拡大はもとより、当地域の産業や医療など、住民の生活を支えるかけがえのない重要な路線であり、その維持・拡大を図るため、引き続き、遠紋8市町村による住民助成を継続するとともに、首都圏をはじめ、関西以西からの羽田空港乗継ぎによる利用促進、更には東南アジア諸国からの観光客の誘致など、発着地双方からの搭乗者確保対策を積極的に展開してまいります。

 ガリヤゾーンにつきましては、オープンして20周年を迎える本年、港を核とした地域の活性化や港湾施設の利用促進を目指す「みなとオアシス全国協議会」の主催により、「みなとオアシスSea級グルメ全国大会inもんべつ」が、8月に海洋公園において開催されます。

 この大会は、みなとオアシス登録港となっている全国104団体の中から、「海の幸を活かしたご当地グルメ」が集合するイベントであり、全国における開催が11回目、道内では苫小牧市に次ぎ2回目となり、毎年、多くの港湾関係者や観光客で賑わいを見せているものであります。また、世界の人々から「海の貴婦人」と称される大型帆船「海王丸」の入港や、本市としては初となる高速フェリー型クルーズ客船「ナッチャンWorld」の寄港も予定しております。

 これらの取組を通じて、重要港湾である紋別港の貿易港としての機能性や観光拠点としての親水性が全国的に認知され、今後の港湾施設の整備の加速化や利用拡大につながることを強く期待しております。

 このほか、「健康プールステア」につきましては、市民の健康づくりの場として、引き続き、良好な施設機能を確保するため、施設全体の改修計画を策定し、劣化状況に応じた計画的な整備に努めてまいります。

 高規格幹線道路旭川・紋別自動車道につきましては、昨年3月に「丸瀬布・瀬戸瀬間」の11.2kmが開通し、「瀬戸瀬・遠軽間」の6.8kmにつきましても、順調に整備が進んでおり、数年のうちに開通する見通しであります。

 一方、未だに計画区間となっている「遠軽・紋別間」につきましては、地域の各関係機関が連携し、早期の事業化を目指した活動を進めているところであります。高速交通幹線ネットワーク整備は、産業の振興や交流人口の拡大など、地域の活性化を図る上で必要不可欠なものでありますことから、引き続き、国や関係機関に対して力強く要望活動を展開するなど、「遠軽・紋別間」の早期事業化に向けた取組を展開してまいります。

次に、平成30年度紋別市各会計予算案について、ご説明申し上げます。

はじめに一般会計でありますが、基金の活用や市債充当など、財源確保に努めましたが、なお、6億600万円が不足し、財政調整基金の繰入れで対応しなければならない、非常に厳しい編成となったところであります。

 まず、経常的経費につきましては、3%のマイナスシーリングを実施し、裁量的経費の圧縮を図りましたが、公債費、退職者が増加したことなどによる給与費の増などにより、前年度に比較し、2.3%増の116億3,934万6千円となりました。

 また、政策的経費につきましては、前年度に比較して、6.7%減の67億6,966万4千円を計上いたしました。

 以上の結果、本年度の一般会計の予算規模は、前年度予算に比較して、2億1,670万7千円、1.2%減の184億901万円となりました。

 これに見合う財源といたしましては、

市税 29億138万4千円
地方譲与税 1億7,284万6千円
地方消費税交付金 4億5,970万7千円
地方交付税 67億7,000万円
分担金及び負担金 3億6,440万2千円
使用料及び手数料 4億1,099万3千円
国庫支出金 19億1,144万6千円
道支出金 12億2,031万7千円
財産収入 1億2,027万6千円
繰入金 10億7,940万7千円
市債 17億2,860万円
その他 12億6,963万8千円

となっております。

 次に、歳入の主なものについてご説明いたします。

 最初に、市税につきまして、個人市民税は、漁獲高の増加により漁業所得が増加となったことから、前年度予算に比較して、6.5%の増を見込んでおります。

 また、固定資産税におきましては、評価替えの年であり、土地については地価の下落を反映し減となり、家屋、償却資産についても経年減価により減収となることから、3.7%の減を見込みましたが、市税総体では、前年度に比較して1.3%増の29億138万4千円を計上いたしました。

 次に、地方交付税につきましては、地方財政計画では、地方税収の増収を見込んで、前年度2%減の16兆85億円となっております。

 本市の普通交付税につきましては、国の算定指針を勘案して推計した結果、前年度算定額との比較では、2.3%増の58億5,000万円、また、特別交付税につきましては、前年度と比較して2,000万円増の9億2,000万円と見込み、合わせて、67億7,000万円を計上いたしました。

 次に、繰入金につきましては、財政調整基金など10億7,940万7千円を計上いたしました。

 次に、市債につきましては、建設事業等に充てる通常債のほか、地方交付税からの振替相当額として臨時財政対策債、4億850万円を合わせ、17億2,860万円を計上いたしました。

 一方、歳出につきましては、依然として厳しい財政環境にありますことから、前段申し上げました政策課題に着実に取り組むため、重点的かつ効率的な施策の展開に努めるべく編成をいたしました。

 次に、特別会計につきましては、八つの特別会計の総予算額は、59億2,603万円となり、前年度比、2億5,006万5千円、4.0%の減となりました。

 それぞれの特別会計の予算額につきましては、

国民健康保険事業特別会計 28億487万7千円
港湾埋立事業特別会計 1億2,519万6千円
簡易水道事業特別会計 1億5,705万5千円
交通災害共済事業特別会計 4,280万6千円
土地取得事業特別会計 3億8,550万9千円
営農飲雑用水道事業特別会計 3,873万8千円
介護保険事業特別会計 20億4,238万2千円
後期高齢者医療事業特別会計 3億2,946万7千円

となっております。

 その、主なものについて、ご説明いたします。

 最初に、国民健康保険事業特別会計におきましては、財政運営が市町村から都道府県単位に変更されたことに伴い、保険税率の改定や葬祭費の引上げを提案させていただきます。

 また、本年度も国の制度改正が予定されていることから、賦課限度額の引上げ、軽減措置の見直しや高額療養費等の自己負担限度額見直しを制度改正に合わせて行わせていただきます。

 後期高齢者医療事業特別会計におきましても同様に、賦課限度額の引上げ等を制度改正に合わせて行わせていただきます。

 介護保険事業特別会計におきましては、本年は、第7期介護保険事業計画の初年度となります。介護給付費の増加に伴い、第1号被保険者の介護保険料の基準月額を、330円増の4,650円とさせていただきます。

 以上、一般会計、特別会計を合わせた予算の総額は、243億3,504万円となり、前年度と比較し、4億6,677万2千円、1.9%の減となっております。

 最後に、公営企業会計であります。

 まず、水道事業予算につきましては、条文形式予算第3条の収益的支出予定額を7億6,819万7千円と計上し、これに対応する財源として、給水収益などで措置するとともに、予算第4条の資本的支出予定額を11億7,058万6千円と計上し、これに必要な財源として国庫補助金、企業債及び内部留保資金などで補てんすることとしたところであります。

 次に、下水道事業予算につきましては、条文形式予算第3条の収益的支出予定額を11億312万円と計上し、これに対応する財源として、下水道使用料及び一般会計負担金などで措置するとともに、予算第4条の資本的支出予定額を10億5,976万9千円と計上し、これに必要な財源として国庫補助金、企業債及び内部留保資金などで補てんすることとしたところであります。

 以上、平成30年度紋別市各会計予算案の大要について、ご説明申し上げました。

お問い合わせ

総務部/企画調整課

電話:0158-24-2111

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