令和2年度市政執行方針

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市政執行方針(令和2年第1回紋別市議会定例会)

令和2年第1回紋別市議会定例会の開会に当たり、私の市政に対する執行方針を申し上げ、議員の皆様並びに市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 「平成」から「令和」へと新たな時代を迎える中、我が国の社会・経済を取り巻く情勢は、訪日外国人をはじめとする国際化の一層の進展、医療や教育などを含む幅広い産業分野における次世代情報通信技術の急速な普及など、未来に向けて大きな変化を遂げており、時代の移り変わりとともに、その勢いは更に加速しております。
 一方、少子化の流れや大都市圏への過度な人口の集中は、依然として歯止めがかからず、多くの地方都市においては、人口減少と地域経済の縮小への懸念など、引き続き厳しい状況にあります。
 特に、専門的な知識・技能を有する人材をはじめ、あらゆる産業分野において労働力の大都市偏在傾向が強まる中、地方における人手不足は一層深刻さを増し、働き方改革の視点やRPAの導入などによる業務の効率化・省力化を含め、その対応は待ったなしであり、本市におきましても、最優先課題の一つと位置付けているところであります。
 しかし、この問題は、国の少子化対策の遅れやあらゆる社会経済基盤の過度な大都市圏への集中など、我が国の構造的な課題によるものであり、国が国策として積極的に対策を講じていかなければ、根本的な解決には至らないものであり、地方と中央の均衡ある発展に向けて、国の責任ある対応を強く求めるものであります。

 昨年5月、本市は、国土強靭化地域計画として「紋別市強靭化計画」を策定いたしました。この計画は、国・道の施策展開との調和や連携を図り、市民の安全安心な暮らしと本市の持続的な成長、更には我が国の一層の繁栄に貢献することのできる地域づくりを目指すものであります。
 そのような中、昨年は、重要港湾紋別港における屋根付き岸壁の一部が供用開始されるとともに、高規格幹線道路旭川・紋別自動車道においては、「瀬戸瀬・遠軽間」が開通し、更に「遠軽・上湧別間」の新規事業化に向けた検討が前進するなど、本市の持続的な発展に欠かすことのできない重要な社会基盤整備が順調に進んでおります。
 まさに、国と地方との緊密な連携・協力により、これまでの努力が実を結び、災害に負けない地域づくりが着実に進展しており、今後の物流機能の強化や観光振興にも一層弾みが付くものと考えております。
 そして本年、第2期紋別市総合戦略がスタートいたします。
 地方創生の取組は、国土強靭化の取組と同様に、地方と中央が調和と連携を保ち、国や道による社会基盤整備と市町村の強みを生かした独自の取組がかみ合ってこそ、大きな成果へと結びつくものであり、国・道におかれては、市町村と一体となって地方創生に主体的に取り組まれることを強く期待しております。

 昨年のラグビーワールドカップでは、リーチ・マイケル主将が率いる日本代表チームが、ベスト8という大躍進を遂げ、日本中に大きな感動を与えました。そこには、どんな困難に直面しようとも、怯むことなく、ひたすら頂点を目指し、強い意志を持って、ひたむきに努力を積み重ねてきた歴史があり、同時に、「ワンチーム」という合言葉のもと、チームメイト全員がお互いを信じ、思いやり、支え合い、心を一つにしてきたからこそ成し遂げることができた結果であると、改めて強く感じております。
 「まちづくり」においても同じように、地域を取り巻く社会情勢がどんなに厳しくても、「みんなが幸せに暮らせるまち」を目指し、市民の皆さんと力を合わせ、一つ一つ歩みを進めていくことができれば、必ず明るい未来を切り拓いていけると確信しております。
 本年度、私は市長として4期目の最後の本格予算に臨みます。
 私たちを取り巻く課題にしっかりと対処し、初心を忘れることなく、引き続き、全力で市政運営に取り組むことはもとより、立ちはだかる様々な課題に対しては、時期を逸することなく果敢に挑戦し、勇気をもって決断、行動してまいります。
 市民の皆さんのご理解とご協力を重ねてお願い申し上げます。

 以下、本年度の主要な施策の概要について申し上げます。

第一に、「力強い産業活動が市民の暮らしを支え、まちに潤いをもたらす」という視点であります。

私たちの暮らしは、オホーツクの豊かな自然の恵みを活かし、国内屈指の生産力を有するまでに成長した農林水産業をはじめ、商業やサービス業、観光関連産業などの活発な産業活動により支えられております。
 産業は、市民の暮らしを支える基盤であるとともに、地域の活性化と魅力あるまちづくりを展開するための原動力となるものであり、力強い産業活動なくして夢と希望に満ちた明るい将来展望を描くことはできません。
 基幹産業である農林水産業の生産基盤の強化や収益力の向上など、地域産業力の強化に向けて、引き続き各施策を推進するとともに、観光の産業化や中心市街地の賑わい創出に積極的に取り組むなど、官民一体となって、幅広く産業振興に努めてまいります。
 また、ふるさと納税につきましては、全国の大変多くの皆様から、寄附という形で本市を応援していただいており、心から厚く感謝を申し上げる次第であります。同時に、返礼品という形で、本市の特産品が全国へ流通し、品質の良さを認知していただけたものと大変嬉しく感じております。引き続き、寄附者の皆様に喜ばれることはもとより、市内事業者の販路拡大など地域経済の活性化につながるよう、ルールを順守の上、適切に取り組んでまいります。

 農業につきましては、TPP11や日欧EPAに続き、本年1月、日米貿易協定が発効したことに伴い、我が国はかつてない貿易自由化時代を迎えております。
 激しさを増す国際競争を勝ち抜き、未来へ持続する力強い農業経営を確立するため、引き続き、草地の造成や改良整備などの良質な粗飼料生産基盤の整備を推進するとともに、牛舎の大規模化や衛生管理施設の機能強化、高度省力化新技術の導入など、経営強化に向けた取組に支援してまいります。
 また、中山間地域等直接支払事業の対象地域が市内全域に拡大されたことから、新たに対象となる農業者に対して支援を行ってまいります。

 林業・林産業につきましては、木材の安定供給と低コスト林業の確立に向けて、八十士団地の高密度路網化をはじめ、今後主伐期を迎える上渚滑町の上東地区や立牛地区における林道・林業専用道の整備に計画的に取り組んでまいります。
 また、今後見込まれる素材生産量の増加に併せ、国内外への木材流通の拡大に戦略的に取り組むため、本地域から産出される木材の賦存量や加工製品生産量の調査を進めるとともに、紋別港からの移出・輸出の拡大に向けて、関係機関との協議・検討を加速してまいります。
 更に、昨年創設された森林環境譲与税を財源とする市独自の支援制度を新たに創設し、除伐や枝打ちなどの森林整備、植栽・保育作業の効率化を図るための作業機械の導入、将来の地域林業を担う人材育成など、林業振興に向けた各種取組を促進してまいります。

 水産業及び港湾施設につきましては、昨年10月、第2船溜西物揚場において整備が進められてきた屋根付き岸壁の一部が供用開始となり、大変喜ばしく感じております。
 屋根付き岸壁は、地域経済を力強く牽引する水産業の競争力確保に不可欠であり、船舶の安全操業と漁獲物の衛生管理体制の強化に向けて、引き続き、国と一体となって、早期完成を目指してまいります。
 また、港内の深浅測量や老朽化した港湾施設の更新に取り組むなど、船舶の航行や港湾利用者の安全確保に向けて計画的な整備に努めてまいります。
 そのほか、コムケ湖導流堤の改修工事やナマコの増養殖試験に道や漁業協同組合と連携して取り組むなど、引き続き、コムケ湖内の漁業環境の保全と資源管理に努めてまいります。

 中心市街地につきましては、店舗の閉鎖などに伴い、空き地・空き店舗が目立つ状況となっており、その増加傾向に歯止めをかけ、有効利用を図ることが急務であります。
 従来から、まちの賑わい創出は民間の力が中心であり、行政はそれを支える役割でありますが、民間の力だけでは解決できない課題に対しては、行政の積極的な関与と後押しが必要であります。
 今の中心市街地が抱える最大の課題は、土地の取得や利活用が思うように進展しないことであり、その課題解決には、市が主導的な役割を果たすとともに、ニューシティ開発公社が「まちづくり組織」としての機能を発揮し、土地の流動化を促進していくことが不可欠であると考えております。
 そのため、本年度においては、ニューシティ開発公社のまちづくり組織としての体制の充実や機能の強化を図るとともに、意欲のある商業者や団体等による空き地・空き店舗を活用した新たな取組を促進するなど、まちなかの再整備と賑わい創出に向けて、積極的に取り組んでまいります。

 商業等につきましては、地元企業の労働力不足を補い、競争力強化や経営改善を促進するため、生産性向上特別措置法に基づく先端設備等導入計画を策定し、市の認定を受けた事業について、補助率及び補助額を拡充するなど、生産性の向上に資する企業の積極的な投資に対して、支援を強化してまいります。
 また、昨年、商店街連合会と市が連携して実施したポイントカード事業につきましては、従来の「たまるんカード」を、市内大型店が発行するICカードを活用した「紋太カード」へと一新し、加盟店の拡大やキャッシュレス決済への対応に加え、特定健診の受診者などに対する行政ポイントの付与などに取り組んだところであります。
 引き続き、行政ポイントの種類や内容を拡充するなど、カードの多機能化と更なる利便性の向上に努めるとともに、行政施策と消費活動をつなげ、域内循環を生み出し、地域経済の活性化を図ってまいります。

 雇用につきましては、前段申し上げたとおり、地方における人手不足は一層深刻さを増し、その対応は待ったなしの状況であり、引き続き、SNSの活用や首都圏におけるイベントへの参加によるPR活動を積極的に展開するとともに、Uターン助成、資格取得助成、奨学金返済助成など、各種支援制度により市内企業の人材確保を促進してまいります。
 また、本市経済を担う市民の一員として、今や大切な存在である外国人材につきましては、農業や水産加工業に止まらず、建設業や宿泊業など幅広い産業分野において受入が進展するよう、市内企業の意向を十分に把握し、商工会議所や監理団体、登録支援機関などとの緊密な連携を図りながら、技能実習生や特定技能資格者等の受入拡大に積極的に取り組んでまいります。
 そのほか、道立高等技術専門学院の学生に対する奨学金制度を創設し、将来の人材確保につなげてまいります。

第二に、「市民の安全・安心な暮らしを支える」という視点であります。

広域紋別病院が、移転・開院してから5年が経過しようとしており、崩壊寸前であった地域医療は、常勤医師の増員や医療設備の充実など、関係各位の必死の努力と市民の皆さんのご協力により、着実に立ち直りつつあります。
 市民が安心して健やかに暮らすことのできる地域社会を築いていくためには、西紋別地域における唯一のセンター病院である広域紋別病院の診療機能の強化と経営の安定化が不可欠であり、そのためには、常勤医師や看護師など医療スタッフの充実と高度医療機関との連携強化に加え、採算性の確保が困難な分野に対しては財政的な支援も含め、積極的な関与が必要であります。
 市民の最大の願いであり、私の最重要の政治課題でもある地域医療の再生に向けて、これまで長年に渡り築いてきた全国の医療関係者との幅広い人脈や道内医育大学との深い信頼関係を活かすとともに、企業団や地元選出道議とも緊密に連携し、引き続き最大限の努力を傾注してまいります。
 特に、広域紋別病院につきましては、その診療体制の充実に向けて、常勤医師数の拡大に全力で取り組むとともに、全国の多くの方々から絶大な応援をいただいております「ふるさと納税」を活用し、病院経営の安定化に向けて支援を強化してまいります。
 また、建設後41年が経過し、施設の老朽化や衛生管理が課題となっている上渚滑歯科診療所につきましては、今後2か年をかけて施設の移転建替に取り組んでまいります。

 地域福祉につきましては、現在、策定中の「第4期紋別市地域福祉計画」に基づき、地域住民と行政、社会福祉協議会、福祉関係団体等が相互に連携し、市民参加型のボランティア活動の推進、地域を支える人材の育成、福祉サービス提供体制の充実など、市民が支え合い、安心して健やかに暮らせる地域共生社会づくりに努めてまいります。

 子育て支援につきましては、昨年10月から「幼児教育・保育の無償化」が始まりましたが、通園する児童が3歳未満である市民税課税世帯が無償化の対象から除外されていることから、保護者負担金の原則無償化に向けて、当該世帯に対する市独自の助成制度を新たに設けるなど、子育て世代の仕事と育児の両立を応援してまいります。
 また、保健センター内に専任の保育士を配置の上、「子育て世代包括支援センター」を新たに開設するなど、保健師との連携を図りながら、妊娠期から子育て期に至るまでの妊産婦・乳幼児の相談支援体制の充実・強化に取り組んでまいります。

 障害者福祉につきましては、紋別養護学校や紋別高等養護学校の卒業後の市内定着を促進するため、引き続き、グループホームの入居費用に対する助成を継続してまいります。
 また、令和元年度をもって終了予定であった障害者就労移行支援事業所に対する運営支援につきましては、事業所の経営状況や事業継続の必要性に鑑み、更に1年間、支援を延長してまいります。

 高齢者福祉につきましては、認知症の方や判断能力に衰えが見られる高齢者などの権利擁護を促進するため、引き続き、成年後見センターの運営を社会福祉協議会へ委託し、成年後見制度に係る各種相談や市民後見人の養成に取り組んでまいります。
 また、安養園につきましては、施設利用者の安全安心な生活環境を確保するため、施設内に3基あるエレベーターの制御基盤の更新に支援してまいります。

 保健・健康づくりにつきましては、市民一人ひとりが、いつまでも健康を保ち、若々しく元気に暮らすことができるよう、生活習慣や食生活の乱れが引き起こす糖尿病や腎臓病などの重症化予防に向けて、生活習慣等のきめ細かな改善指導に取り組むほか、病気の早期発見・早期治療を促進するため、健康診断やがん検診の受診勧奨を強化するなど、市民の健康意識の向上と健康寿命の延伸に努めてまいります。

 国民健康保険事業につきましては、被保険者数の減少などに伴う国保税収入の低下が見込まれ、安定した医療サービスを提供するために必要な国保事業費納付金を北海道へ納付することが困難な状況にあることから、中低所得者への負担軽減に配慮しつつ、税率や賦課限度額を引き上げることにより、国保財政の健全化と事業運営の安定化に努めてまいります。

 地域包括ケアシステムの推進につきましては、医療と介護の両面から支援を必要とする高齢者等が、安心して在宅生活を送ることができるよう、在宅医療の充実に向けて広域紋別病院へ協力を求めるとともに、休日夜間急病センター、保健センター、地域包括支援センター、訪問看護ステーション及び介護事業所など、医療・保健・介護の関係機関が相互連携を強めながら、在宅医療と介護サービスの一体的な提供に向けた体制構築を加速してまいります。
 また、認知症初期集中支援チームによる認知症患者の早期診断・早期対応をはじめ、サポーターの養成や認知症カフェの運営など各種施策を展開するほか、住民主体の健康づくりや日常生活支援の取組を推進するため、生活支援コーディネーターを配置し、町内会や老人クラブなどによる取組を支援してまいります。
 併せて、令和3年度を始期とする第8期介護保険事業計画の策定に取り組んでまいります。

 住環境につきましては、旭丘団地への入居を希望される方々に対応するため、今後2か年をかけて、8棟32戸を改修してまいります。
 また、管理不全の空き家・廃屋の除却及び利用可能な空き家の取得・改修等に対する助成制度を継続するなど、引き続き、防犯上の観点や生活環境の維持・改善に向けて、積極的に空き家対策に取り組んでまいります。

 市道につきましては、市民生活に密着した生活道路の維持・改修に計画的に取り組むとともに、交通量の多い幹線道路においては、路面の舗装修繕、道路照明のLED化、道路標識の更新など、路線の安全性確保と長寿命化を推進してまいります。
 なお、広域紋別病院跡地に隣接する市道緑町第34号線につきましては、本年度に予定している「(仮称)児童センターみらい」の移転開設に合わせ、一体的な整備に取り組んでまいります。

 河川につきましては、老朽化した河川護岸の改修や防護柵の更新など、計画的な改修整備や安全対策の強化に取り組んでまいります。

 上下水道につきましては、渚滑ポンプ場から花園浄水場までをつなぐ導水管や配水管の更新整備、アクアセンターの管理棟耐震工事や老朽設備の更新などに計画的に取り組み、安定的な給水と適切な汚水処理の体制を確保してまいります。

 防災につきましては、本市は自然災害が極めて少ない、恵まれた安全な地域ではありますが、万が一の自然災害の発生に備え、食料品や飲料水、生活必需品など、防災物品の計画的な備蓄に万全を期してまいります。
 また、災害に負けない社会基盤を整備することは、市民の安全安心な暮らしを守る上で極めて重要であります。本市におきましては、市役所本庁舎や市民会館など、市民生活に深く関わる公共施設の老朽化が課題となっており、計画的・効率的な施設整備の在り方について検討を進めてまいります。
 更に、防災・減災施策の推進に向けて、昨年策定いたしました紋別市強靭化計画につきましては、国の方針や道の計画改訂の状況を踏まえながら、引き続き、不断の見直しに努めてまいります。
 そのほか、全消防隊員の防火衣の更新、消防団員の装備品の充実を図るなど、災害現場で活動する消防職員等の安全性の確保に計画的に取り組んでまいります。

 環境・衛生につきましては、容器包装リサイクル法の改正に伴う資源ごみの引取基準の厳格化に伴い、リサイクルセンターの処理能力の向上や適切な処理体制の確立など、資源ごみの品質改善を図ることが課題となっております。
 このため、西紋5市町村による広域連携事業として、今後5か年程度をかけて施設整備に取り組むこととし、本年度においては、整備の在り方や方向性を明らかにするため、基本構想を策定してまいります。
 また、水産加工における残さの処理過程から発生する臭気について、市民からの改善要望が高まっていることから、臭気対策に詳しい専門家を招聘し、水産加工業者や関係団体とともに、具体的な対策について協議・検討してまいります。
 更に、「合葬式共同墓」につきましては、市民からの要望や市議会における議論の経過等を踏まえるとともに、収蔵数や老朽化など課題がある無縁納骨堂の今後の在り方を含め、仏教会をはじめとする関係機関との協議を行う中で、今後の方向性を決定してまいります。

 公園・緑地につきましては、オホーツク庭園内の電気設備の更新やスポーツセンター周辺の照明灯のLED化に取り組むなど、公園施設長寿命化計画に基づき、公園設備の長寿命化や適切な維持管理に努めるほか、紋別墓園につきましては、昨年に引き続き、給水設備を増設するなど、利用者の利便性の向上に取り組んでまいります。

 交通対策につきましては、市内バス路線の利用が好調であり、南北循環線を中心に、高齢者や通学生、外国人技能実習生など、市民の日常生活を支える大切な移動手段として定着しております。
 更なる利用拡大に向けて、冬期間や雨天時においても快適にバスを利用することができるよう、特に乗降客の多い大型商業施設や高等養護学校に隣接する停留所などに、新たに待合施設を整備するなど、バス利用環境の改善に努めてまいります。なお、施設の整備に当たりましては、ベンチなどの内装材に森林認証材を活用するとともに、その製作は高等養護学校の生徒に依頼するなど、地域との一体感を感じられるバス待合所としてまいります。

第三に、「子どもたちの成長を支え、未来を創造する人材を育む」という視点であります。

子どもたちが、将来への夢や目標を持ち、努力を積み重ね、健全に成長していくためには、家庭、地域、学校が連携・協力し、子どもたちへ望ましい教育環境を整えることが必要であり、このことは、私たち大人の大きな責任であります。
 特に、地方と都市部において教育環境に格差があってはならないと強く感じており、これまでも、学習サポーターの配置や学紋塾の開設、学校図書館の充実など、子どもたちが自ら意欲的に学ぶ環境づくりをはじめ、市内小中学校における校務支援システムの導入や校務用ノートパソコンの一斉更新、部活動指導員やスクールサポートスタッフの配置など、教員の事務負担を軽減し、本来担うべき業務に専念できる環境の整備、更には、指導主事を配置し、教育委員会の組織力の充実と学校との連携強化を図るなど、総合的に施策を展開してまいりました。
 子どもたちが、良質な環境のもとで、自ら学び、鍛え、その個性と能力を伸ばし、逞しく成長していくことができるよう、全小中学校に設置いたしますコミュニティ・スクールなどを通じて、家庭・地域・学校からの声に十分に耳を傾け、幅広い視点と多様な手法を用いながら、全国平均を上回る学力・体力を身に付けることのできる教育環境の整備を目指してまいります。

 義務教育につきましては、子どもたちの学力を確実に向上させていくためには、教育委員会と各学校との緊密な連携のもと、教育現場が抱える様々な課題を共有し、効果的な改善策を組織的かつ計画的に講じていくことが重要であります。そのため、先般、紋別市教育課程検討プロジェクトチームがまとめた「紋別市教育課程編成の手引き」を踏まえながら、総合教育会議を活用し、市と学校間の連携強化や情報共有の促進を図るとともに、教員の指導力向上に向けた研修体制の充実などに努めてまいります。
 また、高い専門性や指導力が求められる外国語授業に対応するため、外国語指導助手を1名増員するほか、全小中学校にICTを活用した「遠隔システム」を導入するなど、国の進めるGIGAスクール構想への今後の対応も念頭に置きながら、質の高い授業を行うことのできる学習環境を整備してまいります。
 一方、不登校やいじめ、児童虐待などの課題に適切に対応するため、教育と福祉の両面から、児童・生徒や保護者、教員の抱える様々な課題への働きかけや支援を行うスクールソーシャルワーカーを新たに配置するほか、スクールカウンセラーの定期的な相談体制を小学校まで広げるなど、教育相談体制の充実に努めてまいります。
 このほか、老朽化が著しい机や椅子をはじめ、金管バンドや吹奏楽部の楽器更新など、施設や設備の改善に取り組むほか、保護者の方々から強い要望のありました部活動遠征費に対する支援につきましては、保護者負担の軽減により、遠征機会の確保が図られるよう、補助制度を拡充してまいります。

 特別支援教育につきましては、昨年9月、西紋こども発達支援センター「すてっぷ」を開設し、施設環境を大幅に改善したところであり、今後は、新たな施設機能を活かし、支援内容の質的向上を図ることが重要となります。
 引き続き、大学や専門機関から療育アドバイザーを継続的に招聘し、センター職員の知識や技能の向上を図るとともに、作業療法士等の専門職の配置に努めるほか、市内小中学校や特別支援学校、保育所・認定こども園、保健センターなど関係機関との連携や情報共有を強め、西紋地域の療育支援体制の更なる充実に向けて積極的に取り組んでまいります。

 紋別高校支援につきましては、引き続き、学力向上支援、部活動支援、生活支援に取り組んでまいります。
 特に、生活支援では、市外からの通学生の負担軽減に向けて、昨年建設に着手した学生寮が、本年5月末に開設予定であり、今後の入学者の増加に弾みを付けてまいります。
 また、部活動支援では、吹奏楽部の楽器更新支援や野球部・サッカー部への外部指導者の派遣を継続するほか、今後の支援の在り方や新たな手法などについて、高校との連携・協議を更に深めてまいりたいと考えております。

 生涯学習につきましては、市民の芸術文化活動や生涯学習活動の拠点施設である市民会館の屋上防水工事や文化会館の給水設備の更新を行うなど、施設の長寿命化に計画的に取り組んでまいります。
 また、近年増加しております市民の音楽活動に対応するため、まちなか芸術館多目的ホールに音響設備や防音処理を施すなど、まちなか交流拠点として気軽に音楽が楽しめるよう、施設の改修整備を進めてまいります。

 図書館につきましては、子どもたちの読書活動の促進と読解力の向上などを目的に、市内小中学校への司書の巡回派遣を行っているほか、学校図書館システムの導入や図書の充実などに計画的に取り組んできたところであります。これらの取組により、読書活動の習慣化や学習面における効果も見られることから、本年度、司書を増員し、学校司書としての大規模校への常駐化を図るなど、各学校における読書活動の更なる促進に向けて、取組を強化してまいります。

 スポーツの推進につきましては、市民がスポーツに親しみ、日常的に健康増進活動に取り組まれるよう、スポーツセンターの屋上防水工事や武徳殿の柔道用畳の入替えなど、安全で良好な体育施設の整備を推進してまいります。
 また、スポーツ少年団や中高生の部活動を中心に体育施設が活発に利用されており、サッカーやテニスなど屋外スポーツの冬期間の練習の場を確保する必要性も高まっていることから、市民の多目的利用やスポーツ合宿における活動の場として、旧道都大学体育館の改修を進めてまいります。

第四に、「交流人口の拡大により、地域の活性化を促進する」という視点であります。

かねてより、私は、地方創生の切り札として交流人口を掲げ、定住人口の減少により生じる様々な課題は、交流人口の拡大により補うとの考えのもと、国内外からの観光客の誘致をはじめ、二地域居住や避暑地化の推進など、多様な施策を展開してまいりました。
 また、そこから生まれる経済効果を市内に広く行き渡らせ、市民や市内事業者がその恩恵をしっかりと実感できるようにすること、すなわち「観光の産業化」を実現することを最終的な目指す姿と位置づけてまいりました。
 観光の産業化には、観光資源の磨き上げや、多くの交流人口を惹きつける魅力的な地域づくりが必要であり、特に今後は、一自治体の取組ではなく、広域的な連携のもと、西紋あるいは遠紋地域を一つの観光圏域として確立させていくことが不可欠になると認識しております。
 そのため、本市がリーダーシップを発揮し、自治体間の共通認識と相互理解の醸成を図るとともに、観光振興の先導役である観光振興公社などとの連携を強めながら、中長期的な展望のもと、圏域全体の交流人口の拡大につながる「広域観光圏の確立」に向けて協議・検討に努め、当地域の新たな活力創出を目指してまいります。

 避暑地化の推進につきましては、都市機能と豊かな自然環境が共存する森林公園から大山山頂に至るまでの一体的な整備を目指し、地域の方々や関係団体などによる検討委員会等を設置の上、エリア全体の利活用構想を策定するほか、森林公園のリニューアルに向けた現況調査や大山山頂レストハウスの改修に取り組むなど、市民と来訪者の双方に潤いをもたらす魅力ある空間づくりに取り組んでまいります。
 また、キャンプ愛好家やバードウォッチャーなどに根強い人気を誇るコムケ国際キャンプ場につきましては、野鳥観察所の設置やアクティビティの創出など、コムケ湖を含む周辺エリアを活かした施策の検討に努めてまいります。

 国際交流につきましては、本市では、国際交流サロンを拠点に、外国人技能実習生に対する日本語教室、文化体験、社会見学、市民交流、バス運賃助成、実習修了者への感謝状贈呈など、国の取組に先んじて、手探りながら外国人との共生社会の実現を目指してまいりました。
 そして、サロン開設から2年が経過した今では、外国人は地域経済を担う市民の一員として定着し、もはや、外国人との共生社会を築くことは、本市の持続的な発展に不可欠な今日的課題であると確信しております。
 引き続き、国際交流サロンの組織体制や機能を強化し、生活面における支援の充実に取り組むなど、外国人が安心して、楽しく暮らしていくことのできる、選ばれるまちづくりを推進してまいります。
 また、姉妹都市や東南アジア諸国との交流につきましては、コルサコフ市からの青少年の受け入れをはじめ、本市と連携協定を締結しているタイ・バンコクの3校から中高生を受け入れる短期留学事業、タイ国際文化交流キャンプ事業への市内中高生の派遣など、それぞれの地域との信頼関係の醸成と相互交流の一層の促進に努めてまいります。

 観光につきましては、観光振興公社や観光戦略委員会など関係団体との連携のもと、引き続き、タイやベトナムなどで開催されるトラベルフェアに参加するなど、東南アジア諸国を中心とする外国人観光客の誘致活動を推進してまいります。
 また、西紋別地域を一つの観光圏域として定着させていくことを目指し、スマートフォンを活用した観光ルートのマッピング表示や観光スポットの抽出など、今後の広域観光の展開を見据え、西紋5市町村が連携し、広域観光ルートづくりに取り組んでまいります。

 オホーツク紋別空港につきましては、これまで目標としておりました年間搭乗者数7万8千人、搭乗率65%に迫る見通しであり、引き続き、羽田便の安定的な運航確保に向けて、遠紋8市町村が一体となり利用促進に取り組むとともに、利用客の増加に伴う施設の狭隘化の解消に向けて、オホーツク紋別空港ビル株式会社と協議を進めてまいります。
 また、先般、紋別丘珠線のトライアル運航が実施され、路線拡充に向けて機運が高まっております。この流れを逃すことなく、羽田便の複便化や札幌便の再開のほか、チャーター便の誘致に向けて積極的に取り組むなど、空港機能を十分に活かし、交流人口の拡大や地域の活性化を目指してまいります。

 ガリヤゾーンにつきましては、観光客の更なる誘致拡大を目指し、昨年、船体の大型化や性能向上を図るとともにバリアフリーにも配慮した新ガリンコ号の建造に着手したところであり、令和3年1月からの就航に伴い、観光客の大幅な増加が予測されることから、海洋交流館の待合スペースの拡張をはじめ、飲食や物販機能の充実を図るなど、観光客の利便性向上はもとより、市民や市内事業者からも喜ばれ、地域の活性化に貢献する魅力ある施設整備を推進してまいります。
 このほか、オホーツクタワーの防水塗装や健康プールステアの外壁改修など、各施設の機能向上や長寿命化に向けて、計画的に取り組んでまいります。

 高規格幹線道路旭川・紋別自動車道につきましては、昨年12月、「瀬戸瀬・遠軽間」の6.8kmが開通し、計画延長の約75%となる約99kmが供用開始となり、また、計画段階評価を進めるための「概略ルート・構造の検討」を行う箇所に指定された「遠軽・上湧別間」につきましては、第1回目の北海道地方小委員会が開催され、新規事業化に向けた検討が着実に前進しております。
 更に、一般国道238号紋別・湧別間における紋別防雪事業におきましても、「沼の上・小向間」の旧鉄道跡地等における新設ルート約7.8kmの工事が順調に進められております。
 この流れを一層加速させ、両路線の一日も早い全線開通が実現し、地域の持続的な発展と市民生活の利便性・安全性向上につながるよう、更に力強く、切れ目のない要望活動を展開してまいります。

次に、令和2年度紋別市各会計予算案についてご説明申し上げます。

はじめに一般会計でありますが、本年度大幅に増加いたしました「オホーツクの流氷と自然を守る寄附金」を各事業の財源として活用させていただいたほか、市債の活用などにより財源確保に努めたものの、3億500万円の財源不足となったことから、財政調整基金の繰入れで対応したところであります。

 まず、経常的経費につきましては、単年度限りの経費を除き、前年度一般財源を上限とするシーリングを実施し、裁量的経費の圧縮を図ったところでありますが、「オホーツクの流氷と自然を守る寄附金」の関係経費の増加により、前年度に比較し、45.7%増の178億7,155万3千円となりました。

 また、政策的経費につきましては、前年度に比較して、24.0%増の86億3,723万2千円を計上いたしました。
以上の結果、本年度の一般会計の予算規模は、前年度予算に比較して、72億8,122万7千円、37.9%増の265億878万5千円となりました。

 これに見合う財源といたしましては、

市税 28億5,207万4千円
地方譲与税 2億6,779万7千円
地方消費税交付金 5億2,617万6千円
地方交付税 67億6,000万円
分担金及び負担金 2億7,118万7千円
使用料及び手数料 5億434万7千円
国庫支出金 20億3,105万3千円
道支出金 14億5,744万1千円
寄附金 50億円
繰入金 35億2,718万5千円
市債 25億9,000万円
その他 7億2,152万5千円

となっております。

 次に、歳入の主なものについてご説明いたします。
 最初に、市税につきまして、個人市民税は、ふるさと納税による税額控除の増加などを踏まえ、前年度予算に比較して、0.5%の減を見込んでおります。
 法人市民税におきましては、法人税率の引き下げの影響から、17.9%の減を見込んでおります。
 固定資産税につきましては、償却資産の新規課税は減少見込みでありますが、農業等の大規模家屋の新築により、総体として微増となることから、0.8%の増を見込んだ結果、市税総体では、前年度に比較して1.5%減の28億5,207万4千円を計上いたしました。

 次に、地方交付税につきましては、地方財政計画では、昨年に引き続き、地方税の増収を見込み、前年度比較で2.5%増の16兆5,882億円となっております。
 本市の普通交付税につきましては、国の算定指針に基づき推計した結果、幼児教育・保育の無償化などの経費算入に加え、新設された事業費による基準財政需要額の増加などにより、前年度算定額との比較では、2.6%増の59億7,000万円、また、特別交付税につきましては、前年度と比較して1億4,000万円減の7億9,000万円と見込み、合わせて、67億6,000万円を計上いたしました。

 次に、寄附金につきましては、「オホーツクの流氷と自然を守る寄附金」の取組の成果により、前年度においても当初見込を大きく上回る実績でありましたことから、50億円を計上いたしました。

 次に、繰入金につきましては、オホーツクの流氷と自然を守る基金や財政調整基金など、35億2,718万5千円を計上いたしました。

 次に、市債につきましては、建設事業等に充てる通常債のほか、地方交付税からの振替相当額として臨時財政対策債3億1,330万円を合わせ、25億9,000万円を計上いたしました。

 一方、歳出につきましては、依然として厳しい財政環境にあるものの、経常費におきましては、裁量的経費の削減に努めたほか、「オホーツクの流氷と自然を守る寄附金」を使途に沿った形で活用させていただくなど、市の政策課題に着実に取り組むため、重点的、かつ効率的な施策の展開に努めるべく編成をいたしました。

 次に、特別会計につきましては、八つの特別会計の総予算額は、57億5,640万4千円となり、前年度比3,934万8千円、0.7%の減となりました。
 それぞれの特別会計の予算額につきましては、

国民健康保険事業特別会計 25億9,419万2千円
港湾埋立事業特別会計 8,417万9千円
簡易水道事業特別会計 1億175万7千円
交通災害共済事業特別会計 4,646万7千円
土地取得事業特別会計 4億729万3千円
営農飲雑用水道事業特別会計 5,336万8千円
介護保険事業特別会計 21億1,493万6千円
後期高齢者医療事業特別会計 3億5,421万2千円

となっております。

 その主なものについて、ご説明いたします。

 最初に、国民健康保険事業特別会計におきましては、賦課限度額の引き上げや軽減措置の見直しを国の制度改正に合わせて行わせていただきたいと考えております。
 後期高齢者医療事業特別会計におきましても、保険料率と賦課限度額の見直しを行わせていただきたいと考えております。
 介護保険事業特別会計につきましては、第7期介護保険事業計画の最終年となりますことから、第8期介護保険事業計画の策定に向けて、安定的な事業運営に取り組んでまいります。

 以上、一般会計、特別会計を合わせた予算の総額は、322億6,518万9千円となり、前年度と比較し、72億4,187万9千円、28.9%の増となっております。

 最後に、公営企業会計であります。

 まず、水道事業予算につきましては、条文形式予算第3条の収益的支出予定額を7億943万6千円と計上し、これに対応する財源として、給水収益などで措置するとともに、予算第4条の資本的支出予定額を9億6,248万3千円と計上し、これに必要な財源として国庫補助金、企業債及び内部留保資金などで補てんすることとしたところであります。

 次に、下水道事業予算につきましては、条文形式予算第3条の収益的支出予定額を10億7,196万9千円と計上し、これに対応する財源として、下水道使用料及び一般会計負担金などで措置するとともに、予算第4条の資本的支出予定額を10億9,693万9千円と計上し、これに必要な財源として国庫補助金、企業債及び内部留保資金などで補てんすることとしたところであります。

 以上、令和2年度紋別市各会計予算案の大要について、ご説明申し上げました。

お問い合わせ

総務部/企画調整課

電話:0158-24-2111

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