平成28年度市政執行方針

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市政執行方針(平成28年第1回紋別市議会定例会)

 我が国の経済は、緩やかな回復基調にあるとされる中、国においては、「デフレからの脱却」を確実なものとするため、アベノミクスの「新たな三本の矢」を放ち、成長と分配の好循環を強固なものとする「強い経済」の実現や誰もが生きがいをもって充実した生活を送ることができる「一億総活躍社会」の創出を目指すとの基本方針を示しました。

 しかしながら、アベノミクス効果が十分に浸透していない地方においては、依然として厳しい経済情勢の中にあり、加えて、少子高齢化や人口減少という我が国の構造的課題やTPP協定の大筋合意など、決して楽観できる状況にはなく、引き続き、「持続可能な強い産業基盤づくり」、「安心な暮らしを確保する社会基盤づくり」、「将来の紋別を担う人づくり」などの取組を、力強く推進していかなければなりません。

 その一方で、市内経済への大きな波及効果が期待できる「木質バイオマス発電所」の運転開始や障害者の就労の場となる「植物工場」の建設など、本市の活性化や新たな魅力の創出につながる明るい兆しが着実に広がりつつあります。

 特に、最重要課題と位置づけてきた「3つの再生」につきましては、医療においては、西紋地域の二次医療の拠点となる「新広域紋別病院の移転開院」により、医療機能や診療体制の充実に向けた今後の取組に弾みをつける足場が整い、中心市街地においても、「新たなまちなか市営住宅」を建設し、まちなかの賑わい再生に向け、更なる定住人口の拡大を進めてまいります。
 また、観光においては、「東京直行便の通年運航」により、国内外の観光客を誘致するための一つの大きな導線が確保され、外国人観光客による北海道観光への注目度の高まりと相まって、いよいよ観光振興による市内経済の活性化に向けた取組を加速させる環境が整うなど、将来への可能性を感じられるところまで前進してまいりました。

 これまでに蒔いてきた種は、着実に成長を遂げつつあります。その実りを確かなものとし、本市の更なる発展の糧としてまいります。

 さて、平成28年度予算は、私の市政3期目における最後の本格予算であります。
 本市の進むべき進路を的確に捉え、未来へとつながる持続可能な発展軌道に確実に乗せていかなければならないと強く感じており、改めて、その責任の重さに身の引き締まる思いであります。

 特に、本年を「地方創生元年」と捉え、「3つの再生」の更なる推進はもとより、安定した雇用を生み出す強い産業基盤づくりや新たな企業等の誘致、障害者の就労環境の創出、大都市からの移住対策、多様な子育て支援策など、様々な視点から、人口の維持や更なる発展への取組を一層強力に展開してまいります。

 これらの取組を推進する原動力は、紋別を愛する私たちの思いであります。
 今後とも、議員の皆さんとの議論を深め、ご理解を賜るとともに、市民の皆さんと心をひとつに力を合わせながら、夢と希望、安心と誇りを持って暮らすことのできる「ふるさと紋別」の実現に向けて、全力で市政運営に取り組んでまいります。
 皆さんの更なるご理解とご協力をお願い申し上げます。

 以下、平成28年度の主要な施策の概要につきまして、補正予算の事業と合わせ、第5次紋別市総合計画のまちづくりの基本目標に沿って、申し上げます。

第一に、「確かな産業を育てるまちづくり」であります。

 昨年、「TPP協定」が大筋合意に至り、私としては、誠に残念であると感じております。
 地域における不安と懸念の声は、依然として払拭されておらず、国に対しましては、今後の国内対策に万全を期すなど、責任ある対応を強く求めてまいりたいと考えております。
 本市といたしましては、関係団体との連携強化に一層努めるとともに、国際競争力の高い農林水産業の育成を目指し、生産基盤の強化と経営の安定化に向けて、積極的に施策を展開してまいります。

 農業につきましては、酪農経営環境の改善と収益性向上に向けて、牛舎や衛生管理施設の整備に引き続き支援するほか、昨年、哺育・育成牛の一元管理を目的に設立されました「協業法人しらかば牧場」が建設する育成舎などの整備に支援し、地域農業の中核的な役割を担う協業法人の設立を推進してまいります。
 また、施設の老朽化や家畜頭数の増加等に伴い、配水量不足が懸念されていた「小向地区営農用水」を改修するなど、地域農業の経営の安定・拡大に向けた環境整備に努めるほか、八十士地区の水道未普及地の解消に取り組んでまいります。

 林業につきましては、森林認証材の普及促進並びに林業、林産業、工務店等の経営の安定化に資するため、認証材を活用した住宅建築に対する助成制度を継続するなど、「植えて、育てて、利用する」循環型林業を更に推進してまいります。
 また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック関連施設の整備に当たり、認証材の利用が明記されたところであり、当地域の認証材の利活用が図られるよう、今後とも関係団体並びに管内自治体と連携し、PR活動に努めてまいります。

 木質バイオマス発電所につきましては、本年中の稼働が予定され、「林業の好循環」や「雇用の創出」など、市内経済への大きな波及効果を生むことを強く期待しており、安定的な稼働に資するため、バイオマス燃料の収集運搬体制の確立に向けた市内林業関係団体の活動を支援してまいります。

 漁業・水産加工業につきましては、度重なる低気圧被害に伴い、漁網被害の発生や原料確保に多大な影響が生じておりますことから、その影響を十分に注視し、経営安定化に向けた支援に取り組んでまいります。

 商業等につきましては、事業者ニーズの高い中小企業チャレンジ支援事業により創業支援を推進することで、商業地域の活性化に努めるとともに、本市におきましても申込みが急増している「ふるさと納税」において、寄附者に対する返礼品の内容や種類を更に拡充するほか、本市の新鮮な一次産品や優れた加工品等の情報発信を強化するなど、販路拡大につながる取組を応援してまいります。

 中心市街地につきましては、まちなか居住の拡大に向けて、「まちなか市営住宅」の建設工事に着手するとともに、活性化の中心的役割を担う交流拠点の形成に向けた整備構想を策定するなど、中心市街地の賑わいの創出と再生への取組を推進してまいります。

 観光につきましては、観光客の誘致による市内経済の活性化を促進するため、国内はもとより、東南アジア地域を中心とした観光客誘致活動を一層推進するとともに、飲食店街におけるWi-Fi環境の整備や観光案内板の設置のほか、外国語に対応可能なガイドを市内観光施設に配置するなど、受入体制の更なる充実に努めてまいります。
 また、目まぐるしく変化する観光産業の動向や観光客のニーズに柔軟かつ的確に対応するため、旅行会社などとの連携体制を強化し、そのノウハウを活用した取組を展開してまいります。

 雇用につきましては、人手不足の業種における労働力確保と大都市からのUIターンを促進するため、新たに一次産業の体験就労プログラムや医療・福祉分野などの専門資格所持者を対象とした短期就労研修助成制度を創設するとともに、求職者や既存の従業員のスキルアップを促すことを目的とした資格取得支援制度を拡充してまいります。

第二に、「安心して健やかに暮らせるまちづくり」であります。

 昨年4月、待望の新広域紋別病院が移転開院いたしました。院内には、最新の医療設備が整備され、明るく快適な空間が確保されるなど、医療環境の向上が図られたところであります。
 医療の充実は、市民の最大の願いであり、安心な暮らしを守るための原点であります。
 今後とも、企業団との連携を密にし、医療従事者の確保対策をはじめとした診療体制の充実・強化に、全力で取り組んでまいります。
 なお、旧広域紋別病院跡地につきましては、有効活用に向けて、利用構想を策定してまいります。

 紋別高等看護学院につきましては、地元の医療現場へ優秀な人材を安定的に送り出すという本来の役割を果たすためには、良好な学習環境と生活環境を確保することが第一歩でありますことから、引き続き、看護学院の早急な建替整備を北海道に強く求めてまいります。
 また、看護師を目指す学生に対しましては、経済的負担の軽減に資するため、奨学資金制度を継続してまいります。

 救急医療につきましては、遠紋二次医療圏内で対応できない一刻を争う脳疾患患者の直接搬送を受け入れる医療機関に対し、新たに支援するなど、救急体制の一層の充実に努めてまいります。
 また、昨年10月、遠紋二次医療圏において、初産及び異常分娩などに対応することが困難となったことから、周産期医療体制が整うまでの緊急措置として、圏外の医療機関へ通院される妊産婦に対する経済的支援を継続してまいります。

 地域福祉につきましては、引きこもりがちな一人暮らしの高齢者の社会参加を促し、世代を超えた交流機会の拡大を図るため、まちなか道営住宅における「ふれあいサロン事業」の休日開催や内容の充実に取り組んでまいります。

 子育て支援につきましては、子育て世代が抱える様々な育児負担の軽減を図り、育児に前向きに取り組むことができるよう、認定こども園が取り組む延長保育や生活保護世帯に対する助成制度を新たに創設するほか、市内の里親によるショートステイ事業を実施するなど、多様な支援策に取り組んでまいります。

 障害者福祉につきましては、障害のある方々が、地域において安心して自分らしい生活を営むことができるよう、障害福祉サービスの利用支援や権利擁護などの相談支援体制を強化してまいります。

 また、障害者の就労支援に向けて、就労施設となる「植物工場」の建設に着手するとともに、福祉的就労から一般就労への移行を促進するため、一般就労を目指す障害者を受け入れる民間企業に対する助成制度を創設するほか、今後の就労支援の取組を加速化するため、専任職員を配置してまいります。

 高齢者福祉につきましては、安養園に入所される方々の快適な居住環境を確保するため、老朽化の著しいボイラー設備の更新に支援してまいります。

 保健・健康づくりにつきましては、糖尿病や心疾患などの発症につながる生活習慣病の予防に向けて、医療機関との連携を図り、市民の特定健診結果等に基づき、保健・栄養指導を強化するなど、市民の健康増進に一層努めてまいります。

 社会保障につきましては、生活困窮者が抱える多様な課題に対応するため、引き続き、「生活困窮者自立支援事業」に取り組むとともに、生活実態やニーズに応じて、適宜、支援内容の充実に努めてまいります。
 なお、所得の低い高齢者などへの「臨時福祉給付金」については、円滑に支給ができるよう準備を進めてまいります。

 国民健康保険事業につきましては、国保税の法定賦課限度額の引上げに伴い、本市の賦課限度額を改定するとともに、税の軽減制度を拡充するなど、低所得者へ配慮しつつ、事業の安定運営に取り組んでまいります。
 また、特定健診の受診率向上の取組を通じて、国保加入者の健康増進と医療費の抑制に努めてまいります。

 介護保険事業につきましては、介護保険法の改正に伴い、高齢者ニーズに応じた住民主体による支援など、多様なサービス体制を構築するため、本年4月から、「新しい総合事業」を実施するとともに、介護予防事業として、「介護支援ボランティア制度」を新たに創設してまいります。
 このほか、「認知症施策」や「在宅医療と介護の連携体制の確立」など、地域包括ケアシステムの実現に向け、計画的に取り組んでまいります。

第三に、「快適な環境で暮らせるまちづくり」であります。

 住環境につきましては、戸建住宅の耐震化やバリアフリー化などの改修工事や管理不全となっている廃屋・空き家の除却工事に係る助成制度を継続し、住宅機能の向上や周辺環境の保全に努め、良好で快適な環境づくりに取り組んでまいります。
 また、空き家の増加抑制はもとより、市民や移住者による住宅取得の促進や危険家屋の現状把握など、今後の空き家施策を効率的かつ効果的に展開するため、市内の空き家状況調査を実施してまいります。
 さらに、都市計画区域内の用途地域については、昨年度策定いたしました「紋別市都市計画マスタープラン」に基づき、まちのコンパクト化や地域住民の利便性向上に向けて、現状に即した見直しを進めてまいります。
 このほか、住居表示につきましては、大山町1丁目地区を整備してまいります。

 市道につきましては、「道路ストック再整備事業」により、主要路線の計画的な修繕工事を進め、道路施設の長寿命化に努めるほか、「南が丘第12号線」の歩道整備を進めるなど、良好で安全性の高い道路環境の確保に努めてまいります。
 なお、計画的に整備を進めてまいりました新広域紋別病院の周辺5路線につきましては、残る「落石第4号線」の改良整備に取り組み、全路線の整備を完了する予定であります。

 上水道につきましては、安全・安心な水を確実に供給するため、花園浄水場の水質検査機器の計画的な更新に取り組むとともに、水道施設の耐震化や設備更新のあり方について検討し、今後の施設整備に係る基本計画を策定してまいります。
 また、管路の老朽化対策として、配水管や渚滑川取水口から花園浄水場までの導水管の更新などに計画的に取り組んでまいります。

 下水道につきましては、今後5か年の施設整備計画を策定の上、アクアセンターの設備や管渠などの更新に計画的に取り組んでまいります。

 防災につきましては、河川氾濫を未然に防ぎ、市民の安全な生活環境を確保するため、オンネナイ川の護岸嵩上げ工事などの河川整備を進めてまいります。
 また、災害発生時において、市民の皆さんに必要な情報を確実に提供し、有効に活用していただくため、情報収集体制や伝達体制の充実に努めるとともに、地域防災力の基盤となる「自主防災組織」の結成を働きかけ、組織率の向上を目指してまいります。

 消防につきましては、老朽化した消防ポンプ車を「圧縮空気泡消火装置」が搭載された車両に更新し、消火能力を強化してまいります。

 公園・緑地につきましては、「南が丘第1号公園」などの既存設備を更新し、安全で良好な地域の憩いの場を確保してまいります。

第四に、「いきいきと学び続けるまちづくり」であります。

 今般、新たに「紋別市教育大綱」を策定したところであります。
 かねてから、私は、「地域を支えるのは人であり、人づくりこそがまちづくりの基本である」という思いから、教育の充実に取り組んできたところであります。
 今後とも、地域づくりの基本となる「人づくり」に向けて、幅広い視点を持って教育施策を推進してまいります。

 義務教育につきましては、「学習サポーター」による少人数指導や長期休業期間中の補充学習、小規模校への巡回指導を実施するなど、市内小学校の基礎学力の定着や学力向上に向けて、きめ細かな学習支援に取り組むとともに、子どもたちの国際理解の促進や語学への関心を高めるため、英語指導助手などによる「紋別版イングリッシュキャンプ」を新たに実施してまいります。
 また、本年度末をもって、元紋別小学校は南丘小学校へ、上渚滑中学校は紋別中学校への統合が予定されておりますことから、両校の閉校記念事業の開催に支援するほか、上渚滑地区においては新たにスクールバスを購入し、生徒の通学の手段を確保してまいります。
 なお、老朽化が進む市内6か所の学校給食調理場につきましては、1か所に集約した「学校給食センター」として整備し、最新の衛生基準への適合や子どもたちの食物アレルギーへの対応を強化するなど、安全・安心な学校給食の提供に努めてまいります。

 特別支援教育につきましては、西紋別地域の療育拠点である「療育センター」の指導員を増員配置し、児童に対する療育支援や保護者への相談支援体制の充実に努めてまいります。

 高等学校教育につきましては、夢に向かって自ら学ぶ力の育成や郷土への愛着心の醸成に向けて、小・中学生を対象に実施しております「子ども未来塾」を高校生まで拡大するとともに、第一線で活躍されたスポーツ選手に、高校の部活動をバックアップいただくなど、学校と一体となって、魅力ある地元高校づくりに取り組んでまいります。

 生涯学習につきましては、誰もが安心して利用できる良好な施設環境を確保するため、市民会館の耐震化や長寿命化に向けた基礎調査に取り組むとともに、老朽化の著しい「青年の家」につきましては、平成30年度の移転・供用に向けて、設計業務等に着手してまいります。

 青少年活動につきましては、北海道日本ハムファイターズの選手のお二人が、本市の「応援大使」に決定しておりますことから、応援大使にご協力を頂き、青少年のスポーツ振興や健全育成に向けたイベント事業などに取り組んでまいります。
 芸術・文化につきましては、優れた芸術文化に触れる機会や文化交流の充実に向けて、「ホットランドオホーツク」の活動に対する支援を拡充するとともに、本年で10周年を迎える「オホーツク紋別音楽セミナー」において記念コンサートを企画するなど、東京藝術大学をはじめ、様々な文化・芸術団体との連携や交流の強化に努めてまいります。

 スポーツ・レクリエーションにつきましては、健康プールステアにおいて開催される各種大会の円滑な実施に資するため、競技記録の管理や大会報告書などの作成に対応可能な「競技成績処理システム」に更新するほか、バスケットボールのルール改正に対応するため、スポーツセンターの「ショットクロック」を更新するなど、スポーツ環境を充実してまいります。
 なお、市営大山スキー場につきましては、利用者の安全確保を最優先に、指定管理者とともに、施設の管理・運営に努めてまいります。

第五に、「オホーツクの個性を活かした交流のまちづくり」であります。

 交流人口の拡大や都市部からの人の流れを創出する取組は、地域に新たな潤いをもたらすとともに、人口減少に歯止めをかける切り札となるものであります。
 本市が有する強みを活かし、新たな活力の創出につなげていくため、道路や港湾などの社会基盤の整備や東京直行便の利用促進の取組を一層強化するとともに、都市部からの移住対策を着実に推進するなど、更なる交流の拡大に努めてまいります。

 オホーツクプログラムにつきましては、オホーツクタワーを観測拠点として、水温や塩分濃度、流氷分布などの海洋データの蓄積、動・植物プランクトンなどの海洋生物のモニタリング調査など、地域特性を活かしたデータ集積に大学や研究機関と連携して取り組むとともに、北海道大学から移管を受けた「大山ドップラーレーダー」を有効に活用し、オホーツク地域における高精度気象予測の実用化を目指し、新たな研究を進めてまいります。
 これらにより得られた貴重なデータは、北方圏国際シンポジウムにおいて公表するほか、産業界・関係団体への提供や市民講座の開催などにより、産業振興や海洋環境保全、地域防災力の強化に活かしてまいりたいと考えております。
 国際交流につきましては、本年、本市の姉妹都市であるニューポート市が姉妹都市提携50周年、コルサコフ市が25周年という節目を迎えることに伴い、親善訪問団の派遣・受入事業を実施するほか、3年に一度実施しておりますニューポート市への中学生親善訪問団を派遣するなど、両市との絆を一層深め、更なる交流の輪を広げてまいります。

 移住対策につきましては、「お試し暮らし」に活用する住宅の確保に努めるとともに、昨年制作いたしました「移住希望者向けPR動画」による本市の魅力の発信に取り組むほか、首都圏で開催される「移住フェア」や「Uターン促進事業」との施策連携を図りながら、本格的な移住や二地域居住に結びつくよう、取組を強化してまいります。
 また、本市ならではの冷涼な気候や豊かな自然環境、首都圏と直結する航空路線を有するという利点を活かし、新たな交流人口の拡大につながる「避暑地化」の実現に向けて、専門的な知見を有する人材を活用するなど、多様な視点から施策の推進を図ってまいります。

 オホーツク紋別空港の利用促進につきましては、3年目を迎える「地方航空路線活性化プログラム」により、流氷や食、花など、遠紋地域の観光素材を活かし、広告媒体や旅行エージェントなどを通じて、積極的に国内外へ向けたPR活動を展開するとともに、遠紋8市町村が連携した航空運賃助成制度を継続するなど、搭乗者数の更なる増加に努めてまいります。
 空港は、本市をはじめ、遠紋地域におけるかけがえのない財産であり、今後とも地域経済の活性化に結びつくよう、東京直行便の安定運航の確保はもとより、更なる航空路線の充実を目指し、全力で取り組んでまいります。

 港湾につきましては、船舶の安全な係留を確保するため、中央船溜の浚渫工事を実施するとともに、第2船溜西岸壁の老朽化対策及び高度機能化を推進するなど、漁港区における漁獲物の衛生管理体制の向上や高品質・高付加価値化への取組を進めてまいります。
 道路整備につきましては、高規格幹線道路旭川・紋別自動車道の「丸瀬布・瀬戸瀬間」が本年度中に開通する予定でありますことから、更に整備スピードが加速し、一日も早く全線開通となるよう、引き続き、国や関係機関に対する要請活動を力強く展開してまいります。
 また、道道紋別丸瀬布線につきましては、鴻之舞地区の「駅逓」付近に整備予定の休憩便益施設の整備促進をはじめ、道路利用者の安全性の確保に向けた改良整備を北海道に対して要請してまいります。

 バス輸送につきましては、アンケートなどを通じて市民ニーズの把握に努め、南北循環線や郊外線の利便性向上を図るなど、バス利用を促進してまいります。

第六に、「市民が行動、参画するまちづくり」であります。

 市民の価値観や生活様式の多様化に伴い、行政に対するニーズは、より複雑化・高度化しており、市民の期待に応え得る行政運営を進めるため、市職員は、率先して自己研鑽に励み、知識の蓄積や企画力の醸成など、一層の資質向上に努めていかなければなりません。
 一方、核家族化や少子高齢化などに伴い、住民相互のつながりの希薄化が懸念される中、地域コミュニティには、安全・安心な地域づくりを進める上で、大変重要な役割を担っていただいております。
 今後とも、市民と行政との有機的な連携・協働体制づくりに努め、共に考え、共に歩むまちづくりを進めてまいります。

 市民協働につきましては、「地域コミュニティ交付金」により、町内会における防犯・防災対策を強化する取組を支援するなど、引き続き、地域コミュニティの主体的な取組や組織の活性化を促進してまいります。
 また、冬期間における良好な生活環境を確保するため、地域内の除雪作業にご協力いただける町内会などに対し、除雪機の無償貸与や燃料費の支給を行うなど、様々な視点から、きめの細かい除雪体制の整備に努めてまいります。

 行財政運営につきましては、より一層の行政サービスの充実に向けて、本年度より「人事評価制度」を活用し、職員自身の意識改革と能力開発を促すなど、人材育成基本方針に定める「求められる職員像」を目指した人材育成に努めてまいります。
 広域行政につきましては、西紋地域や遠紋地域において、医療、介護・福祉、消防、衛生などの分野において連携しておりますが、観光や交通、防災など、広域的視点に基づく行政運営を求められる分野が、ますます拡大しております。
 今後とも、地域課題に的確に対応し、住民サービスの向上や地域力の拡大につながる分野において、積極的に関係市町村との協議に取り組んでまいります。

次に、平成28年度紋別市各会計予算案について、ご説明申上げます。

 はじめに、一般会計でありますが、学校給食センターなどの大型事業の着工に伴い、予算総額は大きく増加したことから、裁量的な経費の一部圧縮、基金の活用、市債充当など、財源確保に努めましたが、なお、4億2,800万円が不足し、財政調整基金の繰入れで対応しなければならない、大変厳しい編成となったところであります。

 まず、経常的経費につきましては、5%のマイナスシーリングを実施したほか、公債費及び退職手当など給与費の減により、前年度に比較し、0.9%減の110億8,726万円となりました。

 また、政策的経費につきましては、前年度に比較して、22%増の70億8,146万円を計上いたしました。

 以上の結果、本年度の一般会計の予算規模は、前年度予算に比較して、11億7,244万9千円、6.9%増の181億6,872万円となりました。
 これに見合う財源といたしましては、

市税 27億4,575万2千円
地方譲与税 1億6,627万6千円
地方消費税交付金 4億7,488万6千円
地方交付税 67億6,000万円
分担金及び負担金 2億9,943万9千円
使用料及び手数料 4億1,895万6千円
国庫支出金 22億6,555万2千円
道支出金 9億7,469万6千円
財産収入 1億2,226万1千円
繰入金 6億6,430万3千円
市債 26億3,380万円
その他 6億4,279万9千円

となっております。

 次に、歳入の主なものについてご説明いたします。

 最初に、市税につきまして、個人市民税は、漁業を除き、前年並み若しくは減少となったことから、前年度予算に比較して、4.3%の減を見込んでおります。
 また、固定資産税につきましては、土地が地価の下落を反映したことにより減となりますが、家屋は木質チップ製造工場等の新規課税により増となることなどから、2.7%の増を見込み、市税総体では、前年度に比較して1.4%減の27億4,575万2千円を計上いたしました。

 次に、地方交付税につきましては、地方財政計画では、昨年並みの16兆7,003億円となっております。本市の普通交付税につきましては、国の算定指針を勘案して推計した結果、前年度算定額との比較では、3.2%減の58億6千万円、また、特別交付税につきましては、前年度同額の9億円と見込み、合わせて、67億6千万円を計上いたしました。

 次に、繰入金につきましては、財政調整基金など6億6,430万3千円を計上いたしました。

 次に、市債につきましては、建設事業等に充てる通常債のほか、地方交付税からの振替相当額として臨時財政対策債4億6,040万円を合わせ、26億3,380万円を計上いたしました。

 一方、歳出につきましては、依然として厳しい財政環境にありますことから、前段申し上げました政策課題に着実に取り組むため、重点的かつ効率的な施策の展開に努めるべく編成をいたしました。

 次に、特別会計につきましては、八つの特別会計の総予算額は61億7,205万5千円となり、前年度と比較して2億3,991万1千円、3.7%の減となりました。

 それぞれの特別会計の予算額につきましては、

国民健康保険事業特別会計 32億2,795万1千円
港湾埋立事業特別会計 8,921万円
簡易水道事業特別会計 1億388万7千円
交通災害共済事業特別会計 4,131万1千円
土地取得事業特別会計 4億3,723万9千円
営農飲雑用水道事業特別会計 4,150万4千円
介護保険事業特別会計 19億2,137万7千円
後期高齢者医療事業特別会計 3億957万6千円

となっております。

 その、主なものについて、ご説明いたします。

 最初に、国民健康保険事業特別会計につきましては、国の法改正に合わせ、保険税賦課限度額を改定させていただきます。

 介護保険事業特別会計につきましては、平成29年度から実施予定であった介護予防日常生活支援総合事業を本年4月より実施することといたしました。

 後期高齢者医療事業特別会計につきましては、保険料改定年でありますが、平成27年度剰余金が見込みより多額であったことなどから、保険料は引き下げられる見込みであります。

 以上、一般会計、特別会計を合わせた予算の総額は、243億4,077万5千円となり、前年度と比較し、9億3,253万8千円、4%の増となっております。

お問い合わせ

総務部/企画調整課

電話:0158-24-2111

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