○紋別市中小企業及び小規模企業振興基本条例

令和元年6月17日

条例第9号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 中小企業及び小規模企業の振興に関する基本的施策(第10条―第12条)

第3章 紋別市中小企業及び小規模企業振興審議会(第13条―第20条)

第4章 雑則(第21条)

附則

流氷が接岸するオホーツク海沿岸の中央に位置する紋別市は、海産物の宝庫である豊かな漁場、広大な土地と冷涼な気候、市域の約8割を占める森林地帯などの豊富な地域資源を背景に、先人のたゆまぬ努力の積み重ねによって、水産業、農業、林業など幅広い産業の礎が築き上げられ、今日までオホーツク圏域の中核都市として発展を続けてきた。

本市では、事業所のほとんどを占める中小企業及び小規模企業が産業の中心的役割を担ってきたところであり、本市が将来にわたり豊かで活力あるまちであるためには、雇用や経済を支える主役である中小企業及び小規模企業が、多様な分野において特色ある事業活動を行うことにより本市経済をけん引していくことが必要である。

しかしながら、近年は、消費者ニーズの多様化、経済のグローバル化、少子高齢化の進行や人口減少時代の到来など、経済的社会的環境は大きく変化してきており、これまで本市の産業を支えてきた中小企業及び小規模企業を取り巻く環境は、非常に厳しい状況が続いている。

このような状況の中で、本市の発展に重要な役割を担う中小企業及び小規模企業が持続的な成長を遂げていくためには、中小企業者及び小規模企業者自らが、創意工夫を生かした事業を意欲的に展開していくとともに、地域社会を構成するそれぞれの団体が連携協力し、役割を果たしながら、多角的な視点から支援を行っていくことが重要である。

ここに、本市の中小企業及び小規模企業の振興について、その基本理念及び施策の方向性を定め、これに地域社会全体で一体的かつ積極的に取り組むことにより、本市の更なる発展を目指す礎とするため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、中小企業及び小規模企業の振興に関し基本理念を定め、市の責務、中小企業者及び小規模企業者が努めるべきこと、市民の協力等について明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項を定めることにより、中小企業及び小規模企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって本市経済の発展及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項各号に該当する事業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(2) 小規模企業者 法第2条第5項に規定する事業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(3) 大企業者 中小企業者及び小規模企業者以外の事業者であって、市内に事務所又は事業所を有するものをいう。

(4) 経済団体 商工会議所法(昭和28年法律第143号)の規定により設立された商工会議所、商店街振興組合法(昭和37年法律第141号)の規定により設立された商店街振興組合及び商店街振興組合連合会、中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)の規定により設立された事業協同組合、生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(昭和32年法律第164号)第3条に規定する生活衛生同業組合その他これらに類する団体をいう。

(5) 金融機関 銀行、信用金庫、信用協同組合その他の金融業を行う者及び信用保証協会をいう。

(6) 域内 本市を中心として経済変動の影響を共有する経済圏の区域をいう。

(7) 経営の革新 法第2条第2項に規定する経営の革新をいう。

(8) 経営力向上 中小企業等経営強化法(平成11年法律第18号)第2条第10項に規定する経営力向上をいう。

(基本理念)

第3条 中小企業及び小規模企業の振興は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。

(1) 中小企業者及び小規模企業者の自らの努力及び創意工夫により経営力向上を図り、成長発展及び事業の持続的な発展が促進されること。

(2) 中小企業及び小規模企業の経済的又は社会的な環境の変化への適応が円滑に図られること。

(3) 中小企業者及び小規模企業者、国、北海道、紋別市、経済団体、大企業者、金融機関その他関係機関及び市民が相互に連携し協力すること。

(4) 前号の規定による連携協力のもと、持続的な域内経済循環を促進し、市民にとって豊かで暮らしやすいまちの実現を図ること。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、中小企業及び小規模企業の振興に関する総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 前項の施策は、中小企業者及び小規模企業者、国、北海道、経済団体、大企業者、金融機関その他の関係機関及び市民との連携協力により実施するよう努めなければならない。

(中小企業者及び小規模企業者の努力)

第5条 中小企業者及び小規模企業者は、経済的又は社会的な環境の変化に即応するため、自主的に経営力向上、経営基盤の強化及び経営の革新に努めるものとする。

2 中小企業者及び小規模企業者は、人材の育成、雇用環境の整備及び従業員の仕事と生活の調和の実現に努めるものとする。

3 中小企業者及び小規模企業者は、地域経済の基盤を形成していることを理解し、社会的責任を自覚し、地域社会との調和を図り、暮らしやすい地域社会の実現に貢献するよう努めるものとする。

(経済団体の役割)

第6条 経済団体は、中小企業者及び小規模企業者の経営力向上、経営基盤の強化及び経営の革新のため、経済団体として必要な環境の整備に努めるとともに、中小企業者及び小規模企業者の支援に積極的に取り組むよう努めるものとする。

(大企業者の役割)

第7条 大企業者は、基本理念にのっとり、事業活動を行うに当たっては、次に掲げる事項に努めるものとする。

(1) 地域社会を構成する一員としての社会的責任及び影響を自覚することはもとより、中小企業及び小規模企業が自らの事業活動の維持及び発展に欠くことのできない重要な存在であることを認識し、中小企業者及び小規模企業者と連携協力すること。

(2) 中小企業及び小規模企業の振興が地域経済の発展において果たす役割の重要性を理解し、市が行う中小企業及び小規模企業の振興に関する施策の実施について協力すること。

(3) 域内において生産し、製造し、又は加工された産品を積極的に取り扱い、及び域内で提供されるサービス等を積極的に利用すること。

(4) 地域との共存共栄を図るため、地域の経済団体に加入するとともに、地域に貢献するための活動を行うこと。

(金融機関の役割)

第8条 金融機関は、中小企業者及び小規模企業者が自主的に経営力向上、経営基盤の強化及び経営の革新に取り組むことができるよう、円滑な資金の供給、経営相談の対応等を行い、中小企業及び小規模企業の育成及び事業の持続的な発展に協力するよう努めるものとする。

(市民の理解と協力)

第9条 市民は、中小企業及び小規模企業の振興が本市経済の発展及び市民生活の向上に寄与することについて理解を深めるとともに、市内において生産し、製造し、及び加工される製品及び提供されるサービスを利用する等、中小企業及び小規模企業の成長発展及び事業の持続的な発展に協力するよう努めるものとする。

第2章 中小企業及び小規模企業の振興に関する基本的施策

(施策の基本方針)

第10条 中小企業及び小規模企業の振興に関する施策の策定及び実施は、基本理念にのっとり、次に掲げる事項を基本として行うものとする。

(1) 中小企業者及び小規模企業者の経営の革新及び創業の促進並びに創造的な事業活動(法第2条第3項に規定する創造的な事業活動をいう。)の促進を図ること。

(2) 中小企業者及び小規模企業者の事業活動に必要な人材の育成及び確保並びに資金供給の円滑化を図ることにより、中小企業者及び小規模企業者の経営基盤の強化を促進すること。

(3) 中小企業者及び小規模企業者の経営の安定、事業転換の円滑化等を図ることにより、中小企業者及び小規模企業者の経済的又は社会的な環境の変化に対する適応の円滑化を促進すること。

(4) その他基本理念の実現に資する措置を講ずること。

(受注機会の増大)

第11条 市は、工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行及び透明かつ公正な競争の確保に留意しつつ、中小企業及び小規模企業の受注機会の増大を図るよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第12条 市は、中小企業及び小規模企業の振興に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第3章 紋別市中小企業及び小規模企業振興審議会

(審議会の設置)

第13条 市長の附属機関として、紋別市中小企業及び小規模企業振興審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)

第14条 審議会は、次に掲げる事務を行う。

(1) 市長の諮問に応じ、中小企業及び小規模企業の振興に関する施策について調査審議し、及び意見を述べること。

(2) その他中小企業及び小規模企業の振興に関する事項について調査審議し、及び意見を述べること。

(組織)

第15条 審議会は、委員8人以内をもって組織する。

2 委員は、学識経験者、中小企業者及び小規模企業者、経済団体、金融機関その他市長が適当と認めるもののうちから、市長が委嘱する。

(委員の任期)

第16条 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員は、再任されることができる。

(会長)

第17条 審議会に会長を置き、委員の互選により定める。

2 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。

3 会長に事故があるときは、あらかじめ会長の指名する委員がその職務を代理する。

(会議)

第18条 審議会の会議は、会長が招集し、会長がその会議の議長となる。ただし、委員の委嘱後最初に開かれる会議は、市長が招集する。

2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。

3 会議の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(庶務)

第19条 審議会の庶務は、産業部において処理する。

(運営事項)

第20条 この章に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。

第4章 雑則

(委任)

第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(紋別市中小企業振興条例の廃止)

2 紋別市中小企業振興条例(昭和49年条例第2号)は、廃止する。

(経過措置)

3 この条例の施行の日の前日までに前項の規定による廃止前の紋別市中小企業振興条例(以下「旧条例」という。)の規定により申請がなされた助成、融資あっせんその他の措置については、なお従前の例による。

4 この条例の施行の際現に旧条例第20条第1項の規定により設置されている紋別市中小企業振興促進審議会(以下「旧審議会」という。)は、第13条の規定により設置された審議会となり、同一性をもって存続するものとする。

5 この条例の施行の際現に旧条例第20条第2項の規定により委嘱された旧審議会の委員である者は、この条例の施行の日に第15条第2項の規定により審議会の委員として委嘱された者とみなす。この場合において、その委嘱された者とみなされる者の任期は、第16条第1項の規定にかかわらず、旧審議会の委員としての任期の残任期間と同一期間とする。

6 この条例の施行の際現に旧審議会の会長である者は、この条例の施行の日に第17条第1項の規定により審議会の会長に選任されたものとみなす。

紋別市中小企業及び小規模企業振興基本条例

令和元年6月17日 条例第9号

(令和元年6月17日施行)